為替介入とは?過去の事例と相場の動きを要チェック!【お金マン】
FXトレードをする中で、各国の金融政策の動向を確認することは非常に大切です。
政策金利の方針や金融緩和の方針のなど、金融政策の方向によって為替は大きく変動します。
中でも、金融政策の1つ「為替介入」は、為替相場にダイレクトに影響を与えるので、見落とさないようにしましょう。
ところで、為替介入とは何でしょうか?
今回の記事では、
- 為替介入とは
- 為替介入の目的・効果
- 為替介入の方法
- 世界各国の為替介入と、介入後の為替チャートの動き
について解説していきます。
この記事を読めば、為替介入について詳細に理解することができ、為替介入時のトレードにおける立ち回りを理解することができるでしょう。
1.為替介入とは?
為替介入とは、正式には「外国為替平衡操作」といい、為替相場に急激な変動があった場合に、通貨価値を安定させることを目的で各国政府、中央銀行が為替市場で売買を行うことを指します。
日本においては、中央銀行である日本銀行が財務省の指示により為替介入を行います。
財務大臣の権限において為替介入を実施することとなり、特別会計に関する法律および日本銀行法に基づいて、財務大臣の指示のもと、実務を遂行します。
2.為替介入の目的
為替介入を行う目的は下記の2つです。
- 為替の安定化を図る
- 望ましくない方向へ過度に為替相場が動くことを抑制する
それぞれにおいても、行き過ぎた為替相場を安定させるという点で共通していますね。
日本においては、過度に行き過ぎた円高を抑制するために為替介入を行って、「行き過ぎ」を是正することを目的とすることが多いです。
これまでにも、為替相場が過度に乱高下していたり、あまりにも早いスピードで一方向に為替相場が動いたりすることがありました。
こうしたタイミングで、反対方向に為替介入を行うことで、為替相場の平準化を図り、通貨価値を安定化させることを目的にしています。
また、日本は輸出企業が大半を占めているため、過度の円高は日本経済に大きな悪影響をもたらします。
過度に円高に触れてしまった際も為替介入を行うことで、経済への悪影響の要素を排除するように動いていました。
3.為替介入の種類
為替介入をするには具体的にどのような手法があるのでしょうか?
為替介入には、
- 単独介入
- 委託介入
- 協調介入
の3種類があります。
単独介入は、政府・日銀が東京市場において独自の判断で為替介入を行うことです。
委託介入とは、「ロンドン市場」や「ニューヨーク市場」など、東京市場以外でも為替介入をお願いしなくては相場の乱高下を抑えられない場合に、海外の通貨当局に為替介入を委託する方法です。
協調介入は、各国と事前に合意形成をした上で、各国の中央銀行が同時、あるいは断続的に為替市場に介入することです。
近年では、1985年のプラザ合意の際や、2011年の東日本大震災時に急加速した円高傾向に対して、為替市場への協調介入が行われました。
4.為替介入をするための資金調達方法
為替介入をするためには、為替市場で売買を行わなくてはならないため、多額の資金が必要となります。
では、どのように為替介入のための資金調達をするのでしょうか?
日本の場合は、財務省所轄の外国為替資金特別会計(外為特会)の資金を使い為替介入を行います。
円高を是正するための為替介入は、円売り・ドル買いを行う必要があります。
円売り・ドル買いの為替介入をする際は、国庫短期証券(旧:政府短期証券)を対金融機関で発行して円を調達し、その円を売り対価としてドルを受領する、という取引を行います。
そのため、為替介入をした後、政府が保有する外貨準備高は増加することになります。
反対に円安・ドル高を是正するための為替介入は円買い・ドル売りを実施します。
保有している外貨準備高を売却し、円を買い戻す取引を行います。
この際、政府が保有する外貨準備高は減少することになります。
5.為替介入を行うメリット
為替介入を行うメリットは、
- 急激な円安・円高を是正することができるので、実需経済への悪影響を回避できる
- 為替の乱高下を緩和することができ、通貨価値の安定化につながる?
ことがあげられます。
まさにこれらのメリットを実現するために為替介入を行うので、政府としてはこのような効果を得るために、多額の資金を使って為替を調整するように動きます。
6.為替介入を行うデメリット
一方で為替介入を行うデメリットは下記のとおりです。
- 世界中の通貨安競争を誘発し、世界経済が停滞する恐れがある
- 効果が無い可能性もあり、効果が無かった場合は損失となる
1つ目については、為替介入による通貨安への誘導は、特に日本のような輸出国にとっては非常に大きな影響を与える要素です。
円安になれば日本にとっては嬉しいが、貿易相手国にとっては通貨高になった分、その国の輸出商品は国際競争力が下がるため、輸出量が減少してしまいます。
つまり、為替介入は、自国にとってはメリットがあるものの、貿易相手国にとってはデメリットの大きい政策となります。
どの国もデメリットを受け入れたくないため、為替介入が行われると通貨安競争が誘発される懸念があります。
結果として、世界経済を停滞させてしまう恐れがあると言えます。
2つ目については、為替介入を行っても必ずしも効果があるとは限らないという点です。
特に自国通貨売り・外国通貨買いを行って為替介入をする場合は、介入を実施した後に思ったように自国通貨安が進まない、あるいは自国通貨安のトレンドが止まらない場合、為替介入のために購入した外貨資産の時価評価が下がってしまいます。
つまり、為替介入をしたとしても、自国通貨高のトレンドに歯止めがかからなければ、購入した外貨資産の通貨安が進み、購入時よりも為替差損を生み、損失を生んでしまうのです。
また、為替介入後想定通り為替が動いたものの、その効果が一時的に終わってしまう、という可能性もあります。
為替相場の方向性を変えられない場合は、外貨資産安が進むため、結果的に為替差損を生んでしまいます。
7.為替介入の実例
ここで、実際の為替介入の実例を紹介していきます。
2008年のリーマンショック以降、2009年の欧州金融危機、2010年のギリシャ破綻問題など、リスクオフの投資環境が続いていました。
リスクオフの環境の中、安全資産として円が買われ、円高ドル安の傾向が続いていました。
2010年の年初は1ドル=92円台であったのが、9月になると82円台にまで円高傾向が続いていました。
その流れに歯止めをかけるべく、2010年9月15日に為替介入を実施しました。
為替介入を実施前は83円だったドル円相場ですが、介入実施後は1ドル=85円と、1日で2円分も円安に触れました。
2011年にも、日本では為替介入が行われました。
2011年3月11日の東日本大震災以降、円高ドル安傾向に拍車がかかっていきます。
3月17日に当時の史上最高値(ドル安円高)を更新したかと思えば、その後も円高の方向は継続していき、10月28日には3月17日の最高値を更新しました。
そのため、10月31日に日本の単独介入による為替介入が実施されました。
ただし、効果は一時的なものとなり、その後も円高トレンドは継続しています。
1ドル=75円台だったドル円相場は、1日で79.5円にまで上昇しました。
この為替介入についても、一時的に円安方向に動きましたが、その後は再度円高トレンドに触れているのがわかります。
そのため、為替介入のニュースを見たら、その日のうちのトレードに参加するのはリスクが大きいため数日様子を見る必要があります。
為替介入の効果が薄れてきたタイミングで、これまでのトレンドの方向にポジションを取ることで、利益を生みやすくなります。
8.まとめ
今回の記事では、為替介入について、概要や目的、手段、メリット・デメリットについて詳細に解説しました。
また、為替介入後のチャートを紹介することによって、為替介入をすると実際にどのような値動きになるのか、イメージがついたかと思います。
為替介入のニュースを見た時の戦略としては、
- ニュース当日に、短期売買で利益を積み重ねる
- 為替介入後しばらく様子を見て、再度これまでのトレンドの方向に戻ったことを確認して、ポジションを取る
ことが挙げられます。
トレードに慣れている中上級者の方は前者のトレードをして利益を積み重ねるのもアリですが、初心者の方は前者の戦略を取ることはリスクが大きいため、後者の戦略を取る方が望ましいです。
いずれにせよ、為替介入のニュースは為替相場が動く大きなチャンスとなるため、トレードを仕掛けるには良いタイミングと言えます。
この記事を参考に、為替介入のニュースを活用してトレードチャンスを見つけてはいかがでしょうか。
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