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2018/07/24
シストレ活用事例

リピート系注文における両建ての活用【芳賀浩一】

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リピート系注文における両建ての活用【芳賀浩一】

 

リピート系注文には、通常の注文と同様に『買い』と『売り』の注文があります。

ループイフダンで言えば『B○○』と付いた注文が買いで、『S○○』が売りの注文ですね。

相場の方向を見極めるのは中々難しいのでどちらを選ぶかは悩ましいのですが、実はもう一つ、両方の注文を稼働させる『両建て』という選択があります。

単純に2倍!という訳でもなく、実は以外と奥が深い『両建てリピート』について解説していきます。

 

両建てリピートのメリット

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リピート系注文において、両建てを行う最大のメリットはズバリ『利益が約2倍になること』。

レンジ相場であれば往復で利益を取れますし、上昇相場なら買いが、下降相場なら売りが拾ってくれるので、利益の取り逃しもありません。

「おいおい、そうは言っても必要資金も2倍になるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実はそうならないポイントが二つ。『MAX方式』と『含み損を補い合う』という二点です。

 

まずMAX方式とは証拠金管理の方法で、同一の通貨ペアの売買両方のポジションを保有した場合、数量が多い方の証拠金だけが必要になるというもの。

『買い2万通貨・売り1万通貨』のポジションを保有した時、本来であれば3万通貨分の証拠金が必要になりますが、MAX方式を採用しているFX会社においては多い方、つまり2万通貨分の証拠金だけで良い、とうことです。

(ループイフダンにおいては、MAX方式が採用されています。)

 

もう一つは、含み損の関係。

リピート系注文においては、注文と反対の方向にいくら動くか(買い注文であれば、いくら下落したか)を想定して必要資金を算出します。

含み損が最大になるのは、買い注文であれば想定レンジの上限から下限まで下落した時、売り注文であれば下限から上限まで上昇した時ですので、両方の注文が損失を抱えるタイミングは必ず異なります。

 

これら二点によって、必要資金での基準となる『必要証拠金』と『想定含み損』が重複しないことになりますので、『同一の資金で売買両方の注文ができる』よって、利益が約2倍になる、ということです。

 

両建てリピートのデメリット

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メリットだけ聞くとさも素晴らしい方法のようですが、当然両建てリピートにもデメリットがあります。

『常に含み損を抱えている』ことと、『スワップの期待値がマイナス』になるということです。

 

『常に含み損を抱えている』というのは、売買両方の注文を持っている為、高値圏では売り注文が、安値圏では買い注文が含み損を抱え、トータルの評価損益は常にマイナスになる、ということです。

これは、その運用を途中で止めるタイミングが難しいということに直結します。

買い注文だけであれば高値になって含み損がないタイミングで稼働を止めればそこまで得た利益だけを残して手仕舞いできますが、これが両建てだと、売り注文の含み損を抱えていることになります。

その為、含み損を残さず綺麗に清算しようとしたら『高値で買い注文を止めてから、安値で売り注文を止める』(あるいはその逆)という段階を踏まなくてはいけません。

狭いレンジならまでいいですが、これが何十円という広いレンジで設定されていた場合、その間に年単位の時間が掛かってしまうことも。

一度始めたら、途中で止めることがちょっと面倒、というのが一つ目のデメリットです。

 

『スワップの期待値がマイナス』というのは、多くのFX会社では受け取りスワップポイントよりも支払いスワップポイントの方が大きいので、平均して同数を保有しているとしたら差引のスワップがマイナスになる、ということです。

その為、計算上の期待値はスワップがプラスになる取引を単純に2倍するよりは少なくなるはずです。

また、細かいことを言えば同一レンジで設定した場合、レートの関係で売り注文の方が少し必要資金が大きくなるため、この点も含めて『約』2倍となります。

 

別通貨ペアでスワップポイントをお得に?

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『必要証拠金がMAX方式だから両建てはメリットがある』とは書きましたが、実はループイフダンの必要資金のほとんどは将来予想される含み損。

どこまでのレンジを想定するかにもよりますが、必要証拠金のウェイトはせいぜい1〜2割前後です。

そのため、このメリットを無視して『ドル円をロング・ユーロ円をショート』など異通貨で両建てすることで、両方のスワップポイントをプラスにすることができます。

(または、相関の高い豪ドルとNZドルを使って『豪ドル円をロング・NZドル円をショート』することでマイナススワップポイントを軽減する、など。)

この方法は必要資金も変わり、両通貨ペアの相関が崩れると損失が膨れるリスクもある為、必ず有利とは言い切れません。

一つの方法として頭の片隅に入れてみては如何でしょうか。

※2018年7月現在のスワップポイントに基づいて例示しています。

 

両建てリピート まとめ

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・必要証拠金を共有し、含み損を補いあうため、同一の資金で売買両方の取引が可能

・そのため、運用の期待値は約2倍に。

・ただし、常に含み損を抱えている状態となるため、途中で稼働を止めるのは面倒(もしくは損失前提)

・敢えて異なる通貨ペアを使う選択も

 

攻撃力は増すけど、防御力は下がる。そんなイメージですね。

10年、20年といった超長期で運用する前提であれば、一先ず止める時のことは目を瞑れるので両建ては非常に強力な武器になります。(いずれは考える必要がありますが)

または極短期でレンジを見極めて使う時にも非常に有効。

どっちつかずの場合に、デメリットが目立ってしまう感じですね。

 

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