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新興国通貨の注目トピック・為替動向の見通しを解説【お金マン】
2020年の初期から新型コロナウイルスの感染拡大に世界が混乱し、為替相場や経済状況が右往左往、目まぐるしい変化に覆われました。
今回の記事では、残り約4ヶ月における新興国通貨の為替動向について解説していきます。
これまで新興国通貨への投資をメインで行ってきた方や、これから新興国通貨への投資をスタートしていきたい方にとってはメリットのある内容になりますので、是非ご一読ください。
1.2021年7月までの新興国通貨の動向について
2021年7月までの新興国通貨の動向について、メキシコペソを例に紹介していきます。
昨年の年末から新興国通貨への資金流入が加速していき、上昇トレンドが継続しています。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大による経済への負の影響が出ていたため、市場全体がリスク回避の動きになっていました。
市場の投資家心理がリスク回避になると、新興国通貨は真っ先に売られやすくなるため、新興国通貨にとっては向かい風の状況でした。
その後ワクチン接種によるコロナウイルスの影響が緩和されることによる経済の復活期待から、20年の10月頃より上昇トレンドが開始しています。
また、新興国においても経済政策の一環として政策金利の引き下げを行われておりましたが、2021年に入ってから再度政策金利の引き上げを行う新興国が増えています。
今後についても、経済復興への期待感や政策金利の動向によって、新興国通貨にどう影響が出るのか変わってきますので、これらの指標については新興国通貨投資をする上では必ずチェックするようにしましょう。
一方、新興国通貨の中でも、21年に入ってからも下落を続けている通貨もあります。
例として、アルゼンチンペソを見ていきましょう。
アルゼンチンペソは、21年は1ペソ=1.2円からスタートしましたが、今では1ペソ=1.1円にまで下落しています。
アルゼンチンは海外資本への依存度が高いため、リスク回避の局面の際に影響を非常に受けやすくなります。
海外資本への依存度が高いということは、アルゼンチンで流通しているマネーの出し手が海外投資家である、ということを意味しているため、不況時やリスク回避の局面になった際に、資金を引き揚げられやすいです。
そのため、アルゼンチンペソは新型コロナ禍において売り込まれました。
アルゼンチンペソに限らず、海外資本への依存度の高い国の通貨は、昨今売り込まれる傾向にあります。
このように、新興国通貨全体においては経済復興への期待感や政策金利の引き上げによる通貨高期待があるものの、上昇する通貨と下落する通貨とで今後は選別されていきます。
2.新興国通貨を見るにあたっての今後の注目トピック
2021年末にかけて新興国通貨の相場を予測するにあたって、注目すべきトピックはどのようなものになるでしょうか?
以下のトピックは、新興国通貨の動向を見ていく中で非常に大切になりますので、関連ニュースには注目するようにしましょう。
- 米国の長期金利動向
- 海外資本への依存度
- 新型コロナウイルスの感染状況
それぞれ具体的に見ていきます。
米国の長期金利動向
注目すべき1つ目のポイントは、米国の長期金利の動向です。
新興国通貨の相場動向を把握するにあたって、米国の長期金利は非常に重要な要素となります。
というのも、新興国通貨に資金が集まるのは、新興国通貨の金利が米国の金利と比較して高水準であることが理由であり、米国の金利が上昇すると、相対的に新興国通貨に投資をするメリットが薄れるからです。
米ドルをはじめ、投資対象として見た米国は、世界最大の経済大国だけあって、非常に信頼性が高く、安全性の高い投資先として見られています。
一方で、近年では金融緩和の影響を受けて金利が非常に低い水準に据え置かれているため、インカムゲイン狙いでの投資をするにあたっては、米ドルには投資妙味があまりありませんでした。
そのため、よりインカムゲインを狙うために金利が比較的高い水準で置かれている新興国通貨に資金が流入していきます。
これが、新興国通貨に投資するメリットとなっています。
しかし、米国の長期金利の水準が上昇していくと、新興国通貨に投資をするメリットが薄れるため、新興国通貨にとって向かい風となります。
つまり、米国の長期金利が上昇する見込みとなれば新興国通貨は下落しやすく、反対に長期金利が下降する見込みとなれば新興国通貨は上昇しやすい傾向にあります。
このように米国の長期金利は新興国通貨の相場動向に大きな影響を与えますので、注意して確認するようにしましょう。
海外資本への依存度
注目すべき2つ目のポイントは、その国の海外資本への依存度の高さです。
一般的に新興国は国内経済が未成熟のため、資金不足の傾向にあります。
そのため、新興国の資金調達においては、海外からの資金の借入(海外資本)に頼らざるを得ない側面があります。
海外資本への依存度の高い国については、市場全体がリスク回避の心理になった際に、売られやすく、一気に下落する可能性がありますので、注意しましょう。
市場心理がリスク回避に傾いた際に、リスクの高い新興国からは資金が引き上げられる傾向にありますが、海外資本への依存度が高いと、ひとたび資金が引き上げられると、米ドルに対して大きく下落します。
海外資本への依存度の高い国は、具体的には
- トルコ
- アルゼンチン
- ブラジル
- インドネシア
などが挙げられます。
海外資本への依存度の高い国に対する投資は細心の注意を払うようにしましょう。
新型コロナウイルスの感染状況
注目すべき3つ目のポイントは、新型コロナウイルスの感染状況です。
この話題は新興国だけに限らず先進国にも当てはまりますが、昨今ではデルタ株などの変異種型のコロナウイルスの感染が流行しています。
今後も、ウイルスが新たに変異し、再び経済状況を悪化させるような悪影響をもたらす可能性があります。
2020年秋ごろから新型コロナウイルスに対するワクチン接種が進行し、投資家心理は落ち着きを取り戻しましたが、変異株の出現により、今後の相場動向は大きく変わっていきます。
特に新興国通貨はリスク情報に対して敏感に反応しやすいため、新型コロナウイルス関連のニュースはチェックするようにしましょう。
3.2021年末に向けたシナリオ
上記の注目トピックを受けた上で、2021年末に向けた新興国通貨の相場シナリオについて考えていきましょう。
2021年末に向けた新興国通貨は、米ドルに対して上値は限られているものの、大きく下落せず、横ばい〜上昇トレンド方向に推移すると、筆者は考えます。
一方、投資対象国は今後選別される可能性も高く、海外資本への依存度の高いトルコ・アルゼンチン・ブラジルレアルのような国は、下落の可能性が高いです。
新興国通貨が大きく下落せず下値が限定されている、と示す根拠としては、米ドルの利上げのタイミングです。
2021年中にテーパリング(金融緩和の縮小)が行われる可能性がありますが、あくまでも早ければ年内、というイメージです。
テーパリングが終了した後に利上げが検討されていますが、利上げのタイミングは早くても2022年に入ってからの見通しが強いです。
この理由から、米国金利の利上げによる新興国通貨の下落の影響は受けづらいと考えられるため、新興国通貨の相場の下値が限定されると判断できます。
一方で、新型コロナウイルスの感染状況と、それに伴う経済活動の停滞については今後も注視が必要です。
更なる変異株の登場などで感染が拡大し、経済状況が悪化すれば、新興国通貨においてもダメージを受ける可能性がありますので、注意してください。
4.まとめ
今回の記事では、2021年1月〜7月の相場動向について振り返り、2021年12月末までの相場の見通しについて解説していきました。
中でも、
- 米国の長期金利
- 海外資本への依存度
- 新型コロナウイルスの感染状況
については注視が必要です。
これらの動向に応じて、今後の新興国通貨相場の見通しが変わる可能性があります。
基本的には米国の長期金利の見通しを注視していく中で新興国通貨の方向性を判断していくようにしましょう。
今回の記事を読んで、今後の新興国通貨の方向性を適切に理解し、トレードに活かしてもらえれば幸いです。
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