山中康司のループイフダン戦略レポート(2025年2月②)
ループイフダン「2025年2月の戦略・月中レビュー」
1.気になるトピックス
今回から目次にある通りレポートの内容を変更させていただきます。
まず「気になるトピックス」と題して、直近で気になったニュース、ファンダメンタルズ、テクニカルの中から毎回読者の皆様に気にしておいていただきたいことを書いていきます。
今回はテクニカルのテーマから、大統領就任式の1月はドル円で超長期の高値・安値をつけやすいということを書いておきます。1月18日オンラインセミナーでも取り上げましたのでご覧になった方も多いと思いますが、初めての方は気にしておいても良いテーマです。
2025年は大統領就任式のある1月です。既に1月のレンジと2月のここまでのレンジは確定していますので、今回は超長期のドル高値を1月につけた可能性があります。月足チャートをご覧ください。
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トランプ政権1期目は2017年1月にドル高値をつけその後4年間米ドルは下げ続けました。対照的にバイデン政権では2021年1月にドル安値をつけその後4年間米ドルは上げ続けました。トランプ政権2期目は2025年1月に始まり1月高値を158円台後半で既に確定しています。
毎回あてはまるとは限らないものの今後4年間米ドルは下げ続ける可能性があるかもしれません。まだ2025年は始まったばかりですが、トランプ政権は次々と公約実現に向けて様々な政策を打ち出してきています。米ドル安のシナリオがあるとしたら何なのか、米国の景気後退や為替政策への口出し(ドル高牽制)など、常に頭の片隅に置いておきたい今年の大きなテーマかもしれません。
2.米ドル円
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※赤い線が移動平均線です。
2月14日までのレンジ=150.92〜155.87
2月17日時点の戦略=全ポジション決済
【市況】
2月前半の米ドル円はトランプ関税スタートによるインフレ懸念が広がった同日にメキシコとカナダに対しては1か月延期となったことでインフレ懸念後退と忙しいスタートを切りました。その後、日本の勤労統計が予想よりも強かったところに田村日銀審議委員から20年度後半には1%程度まで政策金利を引き上げる必要があるとの発言に一時151円割れを見ることとなりました。その後は米国による相互関税制度の話から改めて米金利上昇とドル買いを見た後に、早くとも4月に導入となり金利低下ドル安で月前半を折り返しました。
【確定損益】
米ドル円はB100で運用を継続していましたが、14日終値で移動平均線を下回ったことで本来ならば売り転換です。しかし、上記市況のように米ドル円、クロス円での振れが広がり、特にユーロ円での売り転換が大底で発生した後に「行って来い」の動きとなり、広く浅く損失が広がってしまいました。結果としてリスク管理のルールに従い2月17日寄り付き後に全ポジションを決済しました。2月の確定損益は74,933円の損失となり、月末までは新たなポジションは持ちません。(利益額:26,761円、損失額:-101,694円)
3.ユーロ円
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2月14日までのレンジ=155.46〜160.95
2月17日時点の戦略=全ポジション決済
【市況】
2月前半のユーロ円は1週目はドル円での円買いの影響が大きく12月安値を下抜け昨年9月以来の155円台半ばまで売られました。この動きでユーロ円は売りだと考えた参加者も 多かったと思いますし、移動平均線戦略でも売り転換したことで10か月曜の寄り付きでS100へと転換することとなりました。しかし、先週はその下げに対して全戻しの急反転を演じました。トランプ・プーチン会談での欧州地政学的リスク後退への期待が大きかったことによります。まだ移動平均線よりは下にいますので戦略的には売りですが、ここからどちらに動くのか、注意深く見て行く必要があります。
【確定損益】
ユーロ円はB100運用を継続していましたが、月初の大きな下げにより2週連続で移動平均線を下回ったことで売り転換となりました。しかし、ユーロ円の売り転換が大底で発生した後に「行って来い」の全戻しとなったことから損失が拡大。基本的にユーロ円での確定損失と含み損とが広がってしまいました。結果としてリスク管理のルールに引っかかり2月17日寄り付き後に全ポジションを決済しました。2月の確定損益は143,159円の損失となり、月末までは新たなポジションは持ちません。(利益額:21,095円、損失額:-164,254円)
4.ポンド円
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2月14日までのレンジ=187.10〜193.15
2月17日時点の戦略=見送り
【市況】
2月前半のポンド円もユーロ円同様で1週目は日銀の早期追加利上げ思惑による円買い、2週目は欧州の地政学的リスク後退にポンドも買われる展開となりました。ただ、すぐロシア・ウクライナ停戦となる訳もなく、ユーロ円と同様にしばらくは状況を見守る段階にあります。
【確定損益】
ポンド円は現在ポートフォリオから外して様子見のスタンスを継続しています。戦略的にS150継続となります。
5.豪ドル円
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2月14日までのレンジ=94.22〜97.32
2月17日時点の戦略=全ポジション決済
【市況】
2月前半の豪ドル円は1週目はクロス円が軒並み円買いの動きとなったことで下げましたが、2週目はこちらも軒並み買い戻しとなったことで2週かけての行って来いです。以前のもみあいの中心レンジに戻ってきたことでもみあいに戻る可能性が高いものの、対中国での関税発動はあったため、中国の影響を受けやすい豪ドルは上値が重くなりやすいとも言えそうです。
【確定損益】
豪ドル円はS100で運用を継続していましたが、ユーロ円での損失が拡大したことでリスク管理のルールに従い2月17日寄り付き後に全ポジションを決済しました。2月の確定損益は14,725円の損失となり、月末までは新たなポジションは持ちません。(利益額:7,838円、損失額:-22,563円)
6.ユーロ米ドル
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2月14日までのレンジ=1.0189〜1.0513
2月17日時点の戦略=全ポジション決済
【市況】
2月前半のユーロ米ドルは、方向感がはっきりしない展開がつづいていましたが、トランプ・プーチン会談後の地政学的リスク後退から改めて1.05台乗せを見ました。主要欧州株価指数も史上最高値更新となっていますが、ユーロ米ドルは1.05超えの売りも根強く、ロシア・ウクライナの和平がすぐに進まないとなると短期筋の利食いが出てくる可能性もあるでしょう。更なる上昇を見るには12月高値を上抜けて引けることが条件です。
【確定損益】
ユーロ米ドルはS100で運用を継続していましたが、リスク管理のルールに従い2月17日寄り付き後に全ポジションを決済しました。2月の確定損益は17,413円の損失となり、月末までは新たなポジションは持ちません。(利益額:8,122円、損失額:-25,535円)
7.現在のポートフォリオ運用について
「移動平均で攻めるループイフダン戦略」
使用チャートは日々の動きを明確にするため、複数時間枠表示という手法で日足チャートに週足移動平均線を重ねています。階段状になっているのはそのためで、1週間(5営業日)単位で移動平均線の値が変化していることがわかります。また、週足終値の位置を間違えないよう、日足を1週間ずつ青い四角で囲ってあります。つまり、青い四角の中の最後の日足終値が週足終値と同じです。また紫の四角で1か月を囲み、各月の値動きもわかりやすくしてあります。
長めのポジション保有を前提に「週足終値が20週移動平均線よりも上にあるか、下にあるかでトレンドを判断」します。ダマシを回避するため「実際の売買は、2週連続で終値が上か下というフィルター」をかけます。ポジションを閉じた後の再エントリーの場合もフィルターをかけます。
リスク管理としては、最大ポジション数が全ての通貨ペアで5、損切設定はあり、とします。ひとつの通貨ペアの資金管理として「1か月の最大想定損失額を証拠金の3%(当レポートでは15万円以上)に到達した通貨ペアに関しては、いったん全てのポジションを仕切った上で月末まで運用見送り」とします。
ポートフォリオ全体の資金管理として「証拠金の5%を超える損失(当レポートでは25万円超、現状4通貨ペアなので20万円)で、利益が出ているポジションも含め全て成り行き決済とし、その場合は月末まで一切ポジションを持ちません。これは、複数通貨ペアで想定以上の損失が出ることが無いようにするためのセーフネットです。
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【本レポートに関するご注意】
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