山中康司のループイフダン戦略レポート(2025年3月)
ループイフダン「2025年3月の戦略」
1.気になるトピックス
前回から目次の通りレポート内容を変更させていただきました。
まず「気になるトピックス」です。直近で気になったニュース、ファンダメンタルズ、テクニカル等のテーマから読者の皆様に気にしておいていただきたいことを書いてます。
今回はシカゴ通貨先物の円ポジションについてです。
シカゴマータイル取引所では様々な先物取引が行われていますが、主要な通貨先物取引も活発に行われています。毎週火曜時点のポジションを金曜NY引け時点に商業(実需)、非商業(投機)に分けて公式に発表されていることから、多くの市場参加者が投機筋のポジションチェックに使っていることでも広く知られていると言ってよいでしょう。
この通貨先物での円ポジションがここ2週間ほど注目されていました。というのも円買いポジションが6万枚を超え、過去最大の円買いポジションだった2016年4月の約7万2千枚に近づいたからです。円売りポジションでは過去最大の円売りポジションは2007年7月の約18万8千枚でしたが、昨年7月には18万4千枚まで増加した直後に円安が終了した動きが見られました。
週末に発表された2月25日時点の円買いポジションは約9万6千枚へと更に増え史上最大の円買いとなっています。既に週末までに調整が入った可能性もありますが、引き続き円買いポジションの巻き返し(=ドル買い)の動きには警戒感が高まっていると言えるでしょう。
2.米ドル円
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※赤い線が移動平均線です。
2月のレンジ=148.55〜155.87
3月3日時点の戦略=S100を開始
【市況】
2月前半は日米金利差縮小が最大のテーマとなりました。トランプ関税懸念があるにも関わらず米金利(10年債利回り)は低下傾向を続け、そうした中で日銀関係者による相次ぐタカ派発言により早期利上げ思惑が高まりドル売り+円買いの動きが強まる展開となりました。月後半は米国経済指標に弱い数字も出てきたことで米金利は一段と低下し一時4.195%と12月10日以来の水準まで低下したものの、『気になるトピックス』で取り上げたように投機筋の円買いポジションが過去最大となっていたことに警戒した月末前のポジション調整が短期的に底打ちの動きに繋がったと見られます。
【確定損益】
ドル円は2月中旬レポートで報告した通り、ユーロ円ポジションでの損失がきっかけとなり、2月17日寄り付き後に全ポジションを決済しました。ドル円の2月の確定損益はその時点の74,933円の損失から変化はありません。(利益額:26,761円、損失額:-101,694円)
月が替わりましたのでドル円は新たにS100で運用を開始しました。現時点のポジションは1単位(平均コスト150.403)、105円の含み損となっていますが下降局面での利食いを待っている状態です。
3.ユーロ円
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2月のレンジ=154.79〜161.17
3月3日時点の戦略=S100を開始
【市況】
2月前半はドル円の動きの影響が大きかったのですが、特にトランプ・プーチン会談での欧州地政学的リスク後退への期待が大きかったことから月初の高値を上回る動きとなりました。しかし、その後は改めて下げに転じる動きの中でテクニカルに大きなダマシも加わったことで、ユーロ円は振れが大きくなりました。チャートにピンクのラインでトライアングル(長期三角もちあい)を示しましたが、サポートライン下抜け後にトライアングル内に戻すという動きで当レポートの戦略のように振らされた市場参加者も多かったようです。
【確定損益】
ユーロ円は2月中旬レポートで報告した通り、2月17日寄り付き後に全ポジションを決済しました。ユーロ円の2月の確定損益はその時点の143,159円の損失から変化はありません。(利益額:21,095円、損失額:-164,254円)
月が替わりましたのでユーロ円は新たにS100で運用を開始しました。現時点のポジションは1単位(平均コスト156.653)、230円の含み損となっていますが下降局面での利食いを待っている状態です。
4.ポンド円
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2月のレンジ=187.10〜193.15
3月3日時点の戦略=見送り
【市況】
2月前半のポンド円もユーロ円同様で月前半は大きく下げた後の全戻し、そしてその後は改めて下げる動きとなりました。米ウ首脳会談が物別れとなった後に英仏とウクライナで停戦案を協議後に米国に提示する方向で話がまとまっています。ウクライナ問題に関して英国の影響も大きいのですが、これがポンド円に大きく影響するとも思えず、引き続きユーロ円の動きを見ながらの展開が続くものと見られます。
【確定損益】
ポンド円は現在ポートフォリオから外して様子見のスタンスを継続しています。戦略的にS150継続となります。
5.豪ドル円
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2月のレンジ=92.72〜97.32
3月3日時点の戦略=S100を開始
【市況】
2月の豪ドル円は豪ドル売りが先行した後に買い戻しも入ったのですが、他のクロス円に比べると上値の重さが目立ちました。背景にはトランプ関税の影響による中国の景気減速が豪州へ与える影響を懸念したことが大きいと言えます。対中国は2月から10%の追加関税が始まっていますが、さらに10%トータルでは20%の追加関税を課すといった話が悪材料となりました。なお、鉄鋼とアルミの25%関税について豪州は既に対米赤字のため免除が検討されており、その点は追加での悪材料とはなっていません。
【確定損益】
豪ドル円は2月中旬レポートで報告した通り、2月17日寄り付き後に全ポジションを決済しました。豪ドル円の2月の確定損益はその時点の14,725円の損失から変化はありません。(利益額:7,838円、損失額:-22,563円)
月が替わりましたので豪ドル円は新たにS100で運用を開始しました。現時点のポジションは1単位(平均コスト93.546)、220円の含み損となっていますが下降局面での利食いを待っている状態です。
6.ユーロ米ドル
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2月のレンジ=1.0189〜1.0528
3月3日時点の戦略=S100を開始
【市況】
2月のユーロ米ドルは、月初に安値をつけた後にトランプ・プーチン会談後の地政学的リスク後退から1.05台乗せとなりました。ドイツ総選挙が事前予想通りに進んだことも買い材料となりましたが、月末の米ウ首脳会談が波乱の末に物別れとなったことを受け反落しての月末クローズとなりました。テクニカルにも1.05台前半の上値の重さを改めて意識させる展開です。
【確定損益】
ユーロ米ドルは2月中旬レポートで報告した通り、2月17日寄り付き後に全ポジションを決済しました。ユーロ米ドルの2月の確定損益はその時点の17,413円の損失から変化はありません。(利益額:8,122円、損失額:-25,535円)
月が替わりましたのでユーロドルは新たにS100で運用を開始しました。現時点のポジションは1単位(平均コスト1.04179)、105円の含み損となっていますが下降局面での利食いを待っている状態です。
7.現在のポートフォリオ運用について
「移動平均で攻めるループイフダン戦略」
使用チャートは日々の動きを明確にするため、複数時間枠表示という手法で日足チャートに週足移動平均線を重ねています。階段状になっているのはそのためで、1週間(5営業日)単位で移動平均線の値が変化していることがわかります。また、週足終値の位置を間違えないよう、日足を1週間ずつ青い四角で囲ってあります。つまり、青い四角の中の最後の日足終値が週足終値と同じです。また紫の四角で1か月を囲み、各月の値動きもわかりやすくしてあります。
長めのポジション保有を前提に「週足終値が20週移動平均線よりも上にあるか、下にあるかでトレンドを判断」します。ダマシを回避するため「実際の売買は、2週連続で終値が上か下というフィルター」をかけます。ポジションを閉じた後の再エントリーの場合もフィルターをかけます。
リスク管理としては、最大ポジション数が全ての通貨ペアで5、損切設定はあり、とします。ひとつの通貨ペアの資金管理として「1か月の最大想定損失額を証拠金の3%(当レポートでは15万円以上)に到達した通貨ペアに関しては、いったん全てのポジションを仕切った上で月末まで運用見送り」とします。
ポートフォリオ全体の資金管理として「証拠金の5%を超える損失(当レポートでは25万円超、現状4通貨ペアなので20万円)で、利益が出ているポジションも含め全て成り行き決済とし、その場合は月末まで一切ポジションを持ちません。これは、複数通貨ペアで想定以上の損失が出ることが無いようにするためのセーフネットです。
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