スリッページとは?意味と注意点をわかりやすく解説!【お金マン】
トレードをしている中で、「約定ボタン押したのに、ずれたレートで決済されてしまった」という経験は誰しもあると思います。
この現象は“スリッページ”と呼ばれます。
これにより、損をすることもあれば、逆に得をすることもあるので、「ちょっとずれたかな?」程度で今まで気にすることなくトレードをしてしまっていることが多いです。
たしかに、デイトレードやスイングトレードといったトレード回数が少ない手法であれば特に気になりません。
しかしながら、短期売買いわゆるスキャルピングのようなトレード回数が非常に多い手法であれば、当然“スリッページ”による影響が損益に大きく関わってきます。
そこで今回は、この“スリッページ”の基礎から対策まで詳しく紹介していきます。
FXのスリッページとは?
改めて、スリッページについて説明します。
スリッページとは、FXで発注・決済を行った際の価格と、実際に約定(注文が確定)した際の価格がズレてしまうことを言います。
(a) 損するケース
(b) 得するケース
こちらの図をもとに具体的なスリッページによる損失について考えていきます。
<スリッページがない場合> <(a)スリッページがある場合>
発注ポイント:100.045 発注ポイント:100.050
決済ポイント:100.160 決済ポイント:100.150
収 益:11.5 pips 収 益:10 .0pips
スリッページ幅は固定ではありませんので、発注・決済でそれぞれ0.5pips、1.0pipsとしています。
この例では、一回のトレードでスリッページによる損失が1.5pipsとなることが確認できますね。
「このくらいの損失は気にならない」と言う方もいると思いますが、冒頭でいった通りスキャルピングなど短期間に複数回のトレードを行う手法で大きな損失に繋がってしまいます。
ただし、発注・決済タイミングのズレによっては、得をすることもあります。
<スリッページがない場合> <(a)スリッページがある場合>
発注ポイント:100.050 発注ポイント:100.045
決済ポイント:100.150 決済ポイント:100.160
収 益:10.0 pips 収 益:11.5 pips
先ほどの例と同じ条件ですと、1.5pipsの利益が出ますね。
ただし、このスリッページによる利益・損失はトレーダーが管理できるものではないので、スリッページの発生原理を理解した上でトレードしていく必要があります。
スリッページの発生要因は?毎回発生するの?
スリッページの対策をする上で、その発生要因について知っておきましょう。
まず発注・決済してから、約定するまでの流れについて説明します。
私たちトレーダーが取引する際には、口座を開設している証券会社を介して下記ステップで行われます。
STEP1:発注・決済を行う。(トレーダー)
STEP2:トレード内容を受け取り、実行する。(証券会社)
STEP3:約定される。(トレーダー)
このステップで約定がされるがゆえに、以下の2つの要因でスリッページが発生します。
① 証券会社におけるシステム強度の強弱:タイムラグ
発注・注文から約定までには、証券会社を介しているためタイムラグが大きければ大きいほど、スリッページが大きくなります。
こちらの要因は今までの説明でイメージしやすいと思います。
② 相場における値動きの高低:急激な値動き
重要な経済指標が発表された際や、週明けでマーケットが開いた直後などは一時的に値動きが激しくなります。
この値動きの激しさに比例してスリッページも大きくなります。
例えば、値動きの速度が10倍になったとすると、本来0.1pipsだったスリッページが1pipsとなります。
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スリッページを減らしたい!対策ってあるの?
スリッページの対策は先ほど説明した要因に合わせて大きく2つあります。
① 約定力の高い証券会社を選ぶ
システム強度の強弱は約定力として各証券会社が提示しています。
FXを始める場合、証券会社を選択する必要がありますが、皆さんはどのような指標で選んでいるでしょうか?
多くの方は、スプレッドおよびスワップポイントの大きさや取引プラットホームで選択しており、約定力を気にしている方は少ないと思います。
しかしながら、ここまで説明した通りスリッページは短期売買において無視できない損失につながるため、これを減らす約定力を証券会社選択の1つの項目として考慮しておくことは重要です。
② スリッページ許容範囲を設定する
多くの証券会社では、スリッページの許容範囲を設定しておくことができます。
スリッページの許容範囲を0.1pipsと設定すると、上下0.1pipsまでのスリッページなら約定して、これ以上のスリッページの場合は約定しないようにできます。
これにより、スリッページによる損失を減らすことができますね!
許容スリッページとは?設定方法は?
先ほどのスリッページ許容範囲は自由に設定することができます。
そこで、「スリッページ許容範囲をどの程度の大きさに設定すればいいの?」と疑問を持つ方も多いと思いますので、ここでは適切なスリッページ設定について紹介します。
スリッページ設定範囲は取引スタイルおよび相場の状況、通貨ペアにより変えていきましょう。
<取引スタイル>
・短期売買(スキャルピング):0.1~ 1.0pips
・デイトレード:~5.0pips
・スイングトレード:~5.0pips
<相場の状況>
・値動きが激しい相場:~5.0pips
<通貨ペア>
・低ボラティリティ(USD/JPY、AUD/JPY):0.1~0.5pips
・高ボラティリティ(GBP/JPY、EUR/JPY):0.5~1.0pips
このようにスリッページ許容範囲を条件によって変えておくことで、「思っていたところで約定できなかった」というトレードにおける失敗を減らすことができます。
スリッページ対策をする上での注意点
ここまで、スリッページの基礎から対策までを紹介してきました。
スリッページ対策をする上では、証券会社の選択や状況に応じたスリッページ許容範囲設定と取引以外に考慮するポイントが増えます。
ここで、スリッページを気にしすぎて取引スタイルを変えたり、スリッページ許容範囲を設定するための相場分析に注視してしまったりすると本来のトレードの目的から逸脱してしまいます。
スリッページは損失につながる要因の1つですが、あくまで自身のトレードスタイルを確立していく上での1つの要素として対策していきましょう。
ちなみに、スキャルピングが難しい、トレードしにくいと感じる方はFX自動売買を使うのもおすすめです。
使ったことのない方は、是非一度アイネット証券のループイフダンを使ってみてください。
参考)ループイフダンってどうなの?
参考)FX自動売買のおすすめランキング
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