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自民党総裁選や衆議院の為替・FXへの影響・今後の見通しを解説【お金マン】
「党総裁選挙には出馬しない」
現内閣総理大臣・菅義偉氏がこう語り、世間にビッグニュースになりました。
安倍政権からバトンを受け継いだものの、コロナ政策に対する国民の信頼を勝ち取ることができず、1年という短期間で政権が終わることが確定しました。
菅氏が不出馬を表明したことで、自民党の総裁選が今後行われますが、誰が自民党党首になるのか、そのことにより金融相場にどう影響をもたらすのか、FX投資家の方であればとても気になりますよね。
今回の記事では、自民党総裁選や衆議院選挙の結果が、為替相場にどのように影響をもたらすのか、今後の見通しについて解説していきます。
この記事を読めば、
- 総裁選候補者の金融政策に対するスタンス
- 誰が自民党党首に選ばれれば、金融市場としてより良いのか
- 衆議院選挙での見るべきポイント・為替相場の関係・見通しについて
を理解することができます。
上記を理解することで、今後のドル円相場のシナリオを立てやすくなり、今後のトレードの指針になります。
1.総裁選候補者の政策方針について
9月の自民党内総裁選では、
- 岸田文雄氏
- 河野太郎氏
- 石破茂氏
- 高市早苗氏
- 野田聖子氏
の5名が立候補しています。
今後の為替相場を占う上で、
- 金融政策
- 経済の構造改革?
それぞれ具体的に見ていきます。
金融政策に対するスタンス
為替相場にダイレクトに影響を与えるのは金融政策のスタンスです。
その点、これまでのアベノミクスのように金融緩和策を推し進める方向からの脱却を考えているのが、岸田氏、河野氏、石破氏です。
特に岸田氏は金融緩和策による財政赤字拡大リスクを最も避けようとしています。
高市氏は反対に金融緩和策の継続を支持しており、野田氏は現時点ではスタンスが不明確です。
つまり、特に岸田氏が総裁選に勝利した場合、金融緩和縮小の見方が広がり、円高の方向に触れる可能性が高まります。
一方、高市氏が当選すれば、金融緩和策の継続期待から、これまでと同様に円安トレンドが継続する可能性が高まります。
ただし、高市氏は、金融取引に対する税率を、現状の20%から30%へ引き上げする方針を掲げています。
これが実現してしまったら、投資家心理がリスク回避傾向になり、円高方向へ触れる可能性もあります。
過去の金融緩和による相場動向
アベノミクスによる金融緩和をはじめ、これまでにも金融緩和(量的緩和)を実施されてきました。
日本において初めての金融緩和は、2001年3月です。
公開市場操作により銀行が保有する国債を大量に買い入れ、金融機関への資金供給量を増やしました。
それに伴い、為替相場は大きく動きます。
2001年3月前後のドル円チャートが下記です。
金融緩和を開始してから1ドル=116円台だった為替は、1ドル=126円台にまで円安が進行しました。
もう1つの代表例が、2012年11月の当時の民主党政権の解散総選挙の際に安倍晋三氏が掲げた金融緩和政策です。
「アベノミクス」という言葉があまりにも有名ですが、金融緩和の拡大を宣言し、実際に金融緩和を強力に推進してきた時期のチャートが下記の通りです。
民主党政権下では、ドル円の歴代最高値である1ドル=75円台にまで円高が進行していましたが、金融緩和への期待感の高まりや、実際に金融緩和が強力に推進されたため、2012年11月時点では1ドル=80円だった相場は、2014年には1ドル=100円台にまで円安が進んでいます。
経済の構造改革に対するスタンス
経済の構造計画に対するスタンスも、為替を見るうえでは重要な視点です。
菅政権では、新型コロナウィルスへの対応に苦慮しており、掲げていた経済政策や構造改革などは進捗しませんでした。
首相の交代を機に、構造改革が進捗することが期待されています。
構造改革に最も積極的なのは河野氏です。
岸田氏も、積極的に構造改革を推進したいと考えています。
2020年の自民党総裁選では、「日本イノベーション基金」やAIや宇宙などの領域へのイノベーション推進、「データ庁」の創設など、構造改革の構想を打ち出していました。
IT化が遅れている領域などにおいて、低い生産性を解消させるような構造改革が打ち出されれば、金融市場にはポジティブな影響がもたらされます。
このように、経済政策の構造改革案がどのようなものなのか、実現可能性はどれほどあるのか、といった観点も為替を考えるにあたって大切な見方です。
2.衆議院選挙で見るべきポイント
自民党総裁選の終了後は、衆議院選挙が行われます。
衆院選で注目すべきは、
- 政治の安定性
- 大きい政府か、小さい政府か
- 重要政策の変更があるか
です。
それぞれ見ていきます。
政治の安定性
1つ目のポイントは政治の安定性です。
選挙によって与党が決まる際、1つの党が総投票の過半数を獲得していれば、重要政策などの決定をスムーズに行うことができるようになるため、政治の安定性が高まります。
政治の安定性が高くなると、その国に対する投資家心理はリスクオンになるため、その通貨を買われやすくなります。
反対に、政権を獲得した党が投票数の過半数を握れていない場合は、政策決定の際に横やりや反対勢力の動きに翻弄されるようになり、政治の安定性が低くなり、その国の通貨に対してはリスクオフになります。
2010年の民主党政権下において、衆議院の議席では民主党が第一党ですが、参院選にて民主党が負け、自民党が第一党となりました。
いわゆるねじれ国会が発生しました。
その際のドル円チャートが下記です。
2010年7月に参院選が行われ、自民党が勝利し、ねじれ国会が発生しました。
ねじれ国会が発生したことで投資家心理がリスクオフになり、円高傾向が進みました。
現状、内閣支持率は低下の一途をたどり、自民党の影響力は下がっていることは事実です。
しかし、自民党以外の野党といわれている政党に対する支持率は自民党よりも低く、小党乱立の状態となっているため、ねじれ国会が発生する可能性は高くありません。
そのため、今後も政治の安定性は下がらない、というのが現時点での見通しです。
大きな政府か、小さな政府か
政権を担当する党の政策方針が、大きな政府を目指すのか、小さな政府を目指すのかによって、為替相場にも影響を与えます。
大きな政府とは、政府が市場に大きく介入し、完全雇用や税金増加による社会的不均衡の是正、社会福祉の充実を図る政府のことをいいます。
税金などを大きく徴収する可能性あるかわりに、公共インフラ投資などへの歳出を増やすことで市場に雇用の機会を増やし、社会の安定化を図ります。
小さな政府とは、政府から市場に対する介入をできるだけ避けて、市場の自由競争による経済発展を目指すことをいいます。
政府による市場への介入は経済活動の適切な発展を損なうとして、公共サービスや社会福祉などを最低限しか行わないかわり、できるだけ税金などを引き下げ、経済活動に障害を出さないようにします。
為替への影響としては、小さな政府を志向する政策の方がプラスに働きます。
一方大きな政府を志向する政策を発表すると、投資家心理にはマイナスに働く可能性があります。
重要政策の変更があるか
前の政権で目玉にしていた重要政策に変更があるかどうかも、為替市場に影響を与えます。
例えば、2012年までの民主党政権下では、消費税の引き上げなど財政健全化を目指していましたが、自民党政権にかわったことで、財政健全化よりも金融政策や経済政策を積極的に行う、という方針転換が図られました。
この方針転換により、いわゆるアベノミクス相場が開始し、これまでの円高トレンドから円安トレンドへ為替相場が変わりました。
現状の見通しでは、これまでの金融政策による経済活性化の方針は後退していく見通しです。
金融緩和などの拡大よりも、財政健全化を図る方針で政策を考えている候補者が非常に多いためです。
そのため、短期的にはアベノミクス効果の後退により円高に触れる可能性があります。
3.政治イベントを踏まえた為替相場の見通しまとめ
ここまで、これから起こる政治イベントを踏まえて為替相場の見通しについて解説していきました。
金融緩和策よりも財政健全化を図ろうとする候補者が多いため、アベノミクス効果が後退する可能性が高いです。
そのため、短期的には円高方向に触れる可能性があります。
また、衆議院選挙で自民党の敗北や、小党乱立状態での政権樹立になってしまうと、政治的安定性が高くなってしまい、円高になる可能性が高まります。
もちろん、海外情勢なども関係するので衆議院選挙だけが為替相場を動かす要因ではありません。
ただ、上記のようなシナリオを自分の中で想定しておくことで、どのような相場になっても柔軟に対応することができます。
ぜひこの記事を参考にして頂ければと思います。
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