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2026/08/05
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好景気は突然終わる?1920年の反動恐慌に学ぶ投資の熱狂と備え

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#資金
#投資
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好景気の裏側に潜む投資リスク

株価や商品価格が上昇し続けていると、その好調な状態が今後も続くように感じてしまうことがあります。

「もっと早く買っておけばよかった」

「今から参加しないと、さらに値上がりするかもしれない」

そう考え、予定していた以上のお金を投じたくなる人もいるでしょう。

相場を見るうえで忘れたくないこと

経済や相場の状況は、いつまでも同じ方向へ進むとは限りません。

第一次世界大戦中の日本は、輸出や生産が拡大する「大戦景気」に沸きました。企業の設立や設備投資が相次ぎ、株式や商品の取引も活発になります。

ところが、戦争終結後も続いていた熱狂は、1920年3月の株価暴落を契機に急速に冷え込みました。

この景気後退は、一般に反動恐慌または戦後恐慌と呼ばれています。

反動恐慌の背景には、戦時需要の縮小だけでなく、過剰生産、在庫の増加、商品投機、借入れの膨張などがありました。

今回は、1920年の反動恐慌がなぜ起きたのかをたどりながら、好景気や上昇相場のときに忘れやすい投資のリスクについて考えます。

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反動恐慌とは?

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第一次世界大戦中の好景気の反動として、1920年に日本で発生した深刻な景気後退です。

「反動」という言葉には、戦争によって一時的に拡大した需要や輸出が、戦争終結後に縮小したという意味があります。

日本銀行金融研究所の研究では、1920年に入ると輸出が減少へ転じ、同年3月に反動恐慌が発生したと説明されています。物価も3月をピークに下落へ向かいました。

国立国会図書館も、1920年3月15日の株価暴落を、戦後恐慌の始まりとして紹介しています。

ただし、3月15日に突然すべての問題が発生したわけではありません。

株価が下落する以前から、戦争中に膨らんだ生産設備、在庫、投機、借入れなどが、戦後の需要に対して過大になりつつありました。

株価暴落は、それまで蓄積していた問題が一気に表面化する契機となったのです。

第一次世界大戦中の日本は好景気だった

大戦景気の背景

第一次世界大戦は、1914年から1918年まで続きました。戦場となったヨーロッパでは、生産や貿易に大きな支障が生じます。それまでヨーロッパ諸国が輸出していた商品を十分に供給できず、日本の商品に対する海外からの需要が増加しました。

日本は、アジア市場などへ繊維製品、船舶、機械、化学製品などを輸出し、経済を拡大させます。

輸出が増え、企業の利益が膨らみ、新しい会社も相次いで設立されました。短期間に大きな利益を得た「成金」と呼ばれる人々も現れます。

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一方で、好景気は物価の上昇も招きました。

国立国会図書館は、第一次世界大戦中の輸出増加によるインフレや投機的な買い占めが、米価上昇の背景にあったと説明しています。

企業や投資家の資産が増える一方で、物価上昇によって生活が苦しくなる人もいました。

つまり、大戦景気は、すべての人が同じように豊かになった好景気ではなかったのです。

戦争終結後も続いた市場の熱狂

1918年に第一次世界大戦が終わっても、日本の景気が直ちに停止したわけではありません。

一時的な景気後退を挟みながら、1919年には再び株式市場や商品市場が活発になります。

日本銀行の『日本銀行百年史』には、一つの商品への投機で利益を得た人が、さらに別の商品も買い進め、経験の少ない人まで先物取引に参加していた状況が記録されています。

特に綿糸などの商品価格は大きく上昇しました。

価格上昇が新たな買いを呼ぶ循環

価格が上がると、その値動きを見て新たな参加者が集まります。買う人が増えることで価格がさらに上昇し、その上昇がまた新しい買いを呼び込むのです。

この循環が続くと、価格は実際の需要や企業の収益力以上に上昇することがあります。

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現代でも、株式、外国為替、暗号資産、不動産などの価格が急上昇すると、「今回だけは下がらない」という雰囲気が生まれることがあります。

しかし、価格が上昇していること自体は、将来も上昇し続ける根拠にはなりません。

1920年に株価や商品価格が下落した背景

需要の変化

戦争が終わると、ヨーロッパ諸国の生産や貿易が徐々に回復し、戦時中に日本の商品へ集中していた需要にも変化が生じました。

国内では、好景気が続くことを前提に、企業が生産設備を増やしたり、原材料や商品を大量に確保したりしていました。

需要が減っても、生産をすぐに止めることはできません。

その結果、作った商品が売れず、倉庫に在庫が積み上がります。

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日本銀行の『日本銀行百年史』では、大戦中の経済発展を支えた貿易が不振となり、各種の商品が倉庫にあふれ、生糸や綿糸などの価格が下落した状況が説明されています。

商品価格が下がると、企業は予定していた価格で在庫を販売できません。

たとえば、100円で売れると見込んで仕入れた商品が、70円でしか売れなくなれば、企業には損失が生じます。

さらに、仕入れや設備投資のために借金をしていれば、商品の価格が下がっても返済額は減りません。

こうして、好景気の間に積み上がった在庫と借入れが、景気後退局面で企業の重い負担となりました。

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株価暴落から企業倒産・銀行休業へ

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恐慌の契機

1920年3月15日、日本の株式市場で株価が大きく下落しました。国立国会図書館は、この株価暴落を戦後恐慌の始まりとして紹介しています。

株価暴落によって市場の不安が一気に表面化し、すでに変調していた商品市場でも価格下落が広がりました。

値上がりを見込んで株式や商品を買っていた人は、損失を避けるために売却しようとします。

しかし、多くの人が同時に売ろうとすれば買い手が不足し、価格はさらに下がります。借入金を使って取引していた場合は、価格が回復するまで待てないこともあります。返済や追加資金が必要となり、安い価格でも売却せざるを得なくなるからです。

こうした売りが新たな値下がりを招き、企業や投資家の損失を拡大させました。

企業の経営悪化が銀行へ波及

商品価格の下落や在庫の増加により、企業の経営も悪化しました。

企業が倒産して借金を返済できなくなったりすると、その企業へ融資していた銀行も損失を受けます。

当時の銀行には、特定の企業や地域との結びつきが強く、融資先が偏っているところもありました。

取引先の経営が悪化すれば、銀行の経営も不安定になります。

日本銀行金融研究所の研究では、1920年の反動恐慌で合計21行の銀行が休業したとされています。

日本銀行は、金融市場の混乱を抑えるため、企業や銀行への特別な資金供給を行いました。

しかし、反動恐慌で表面化した不良債権や企業の経営問題は、短期間では解消されませんでした。

その後の日本経済は、1922年の金融不安、1923年の関東大震災、1927年の昭和金融恐慌など、相次ぐ危機に直面します。

反動恐慌は、一時的な株価調整ではなく、1920年代の金融不安や経済停滞につながる出来事の一つだったのです。

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反動恐慌から学ぶ投資の5つの考え方

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投資判断で確認したいこと

好景気や価格上昇が続いているときほど、その状況が変化した場合を想定し、投資額や資金の使い方を事前に考えておくことが大切です。

1.好景気が続く前提で投資額を決めない

企業の利益や株価が上昇していると、それまでの成長が今後も続くように感じます。

しかし、大戦景気のように、特別な出来事によって生じた需要は、状況が変われば縮小する可能性があります。

投資を判断するときは、現在の利益だけでなく、何が成長を支えているのかを確認することが大切です。

一時的な需要、補助金、流行、供給不足などによる成長は、その要因がなくなれば鈍化することがあります。

2.値上がりへの乗り遅れ不安に注意する

周囲の人が利益を得ていると、自分だけ取り残されたように感じることがあります。

しかし、価格が大きく上昇した後に焦って投資額を増やすと、高値で購入する可能性が高まります。「今すぐ買わなければならない」と感じたときほど、一度立ち止まりましょう。

買う理由が、企業や商品の価値を調べた結果なのか、単に値上がりを見て焦っているだけなのかを区別する必要があります。

3.借入金や生活費で投資しない

価格が下がっても、借金の返済額は原則として変わりません。

借入金を使って投資すると、損失が出たときに価格の回復を待つ余裕を失う可能性があります。

また、近いうちに生活費、教育費、税金などに使うお金を投資へ回すと、価格が下落しているタイミングで売却しなければならないことがあります。

投資に使う資金の基本

投資は、当面使用する予定のない余裕資金の範囲で行うことが基本です。

4.一つの資産や取引に集中しすぎない

反動恐慌では、輸出企業、商品市場、株式市場、銀行が互いに影響し合いながら問題が広がりました。

一つの企業、業種、通貨、商品などに資金を集中させていると、その分野に問題が起きたときの影響が大きくなります。

金融庁も、投資先や投資する時期を分ける「分散投資」を、価格変動の影響を抑える方法の一つとして紹介しています。

ただし、分散しても損失を完全に防げるわけではありません。

5.相場が急変する前にルールを決める

価格が大きく下落してから、冷静に判断するのは簡単ではありません。

損失を取り戻したい気持ちから追加投資を続けたり、不安からすべて売却したりすることがあります。

投資を始める前に決めておきたい点

そのため、投資を始める前に次のような点を決めておきましょう。

  • 投資に回せる上限額
  • 一つの資産に投じる上限
  • 追加投資を行う条件
  • 損失が生じた場合の対応
  • 運用内容を確認する時期

事前にルールを決めても、損失を防げるとは限りません。

それでも、相場の雰囲気だけで投資額を増減させることは避けやすくなります。

暴落を予想するより困らない備えを

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生活に必要なお金を預貯金で確保し、投資を余裕資金の範囲に抑えておけば、価格下落時に慌てて売却する必要性を下げられます。

また、投資先や購入時期を分けることで、特定の値動きによる影響を抑える効果が期待できます。

分散投資や積立投資の注意点

ただし、分散投資や積立投資によって、元本割れを完全に防げるわけではありません。

大切なのは、自分がどの程度の損失に耐えられるかを考え、その範囲を超えない運用を続けることです。

まとめ|好調なときほどリスクを確認しよう

歴史からわかること

第一次世界大戦中の日本は、輸出や生産が拡大し、大戦景気に沸きました。

企業の利益が増え、株式や商品価格が上昇すると、さらに多くの人が市場へ参加します。

しかし、戦争の終結によって海外需要が変化し、輸出や商品価格が下落すると、過剰な生産設備、在庫、投機、借入れが企業の負担となりました。

1920年3月の株価暴落を契機に、企業の倒産や銀行の休業などが広がり、日本経済は深刻な景気後退に陥ります。

反動恐慌から学べるのは、好景気や上昇相場が続いているときほど、状況が変化した場合を考えておく必要があるということです。

好調な相場で意識したい備え

値上がりへの焦りだけで投資額を増やさず、生活に必要なお金を確保し、余裕資金の範囲で運用する。一つの資産へ集中しすぎず、相場が急変した場合のルールを事前に決めておく。

相場の転換点を当てようとするより、予想が外れても生活や投資計画を守れる準備をしておきましょう。

反動恐慌と投資の備えに関するQ&A

Q1.反動恐慌とは何ですか?

A.反動恐慌とは、第一次世界大戦中の好景気の反動として、1920年に日本で発生した深刻な景気後退です。

輸出や商品価格の下落、在庫の増加、企業の経営悪化、銀行の休業などが重なりました。戦後恐慌とも呼ばれます。

Q2.反動恐慌はいつ始まったのですか?

A.一般に、1920年3月15日の株価暴落が反動恐慌の始まりとされています。

ただし、過剰生産や在庫の増加、商品市況の変調などの問題は、それ以前から進んでいました。

Q3.反動恐慌から投資について何を学べますか?

A.好景気や価格上昇がいつまでも続くとは限らないことです。

借入金や生活費で投資せず、一つの資産へ集中しすぎないこと、相場が急変する前に投資額や損失への対応を決めておくことが重要です。


 

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著者プロフィール
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飲食から金融まで多彩な現場を渡り歩く、猪突猛進なアイネット証券の社員。データと歴史から知恵を拾い集め、難しい投資話を「面白く、深く」紐解くことをモットーとする。

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