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2021/09/06
シストレ活用事例

豪ドル/円の為替相場見通しと稼ぐ運用戦略【2021年最新版】【鈴木拓也】

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こんにちは、元メガバンク為替ディーラーの鈴木拓也です。

世界中がコロナ禍で苦しむ中、その封じこめにかなり成功していたオーストラリアでしたが、デルタ株の感染拡大によって方針転換を余儀なくされています。さらに、2020年10月から上昇トレンドを継続してきた豪ドル/円は、2021年7月・8月に入って急落しています。2021年後半に豪ドル/円で稼いでいくためには、はたしてどこに注目していけばいいのでしょうか?今回は豪ドル/円の見通しと稼ぐための戦略についてお伝えしていきます。

【今回の記事でわかること】
2021年豪ドル/円のここまでの変動要因
2021年後半から2022年かけて、豪ドル/円で稼ぐための戦略

※本記事は2021年8月29日までの情報を元に執筆しております。

1.2021年豪ドル/円のここまでの変動要因

豪ドル/円は2020年10月下旬の1豪ドル73円半ばから、オーストラリア経済の好調ぶりを反映して強い上昇基調で、2021年5月には85円を突破しています。ただしそのまま堅調な推移とはいかず、3月から6月までは高値でのもみ合いが続く状況でしたが、7月から8月にかけては下落基調です。その要因を確認していきましょう。

豪ドル安の複合的な要因

豪ドル安の要因は複合的でひとつは、「アメリカの金融緩和見直し」によるものです。アメリカではテーパリング(債券購入の段階的縮小)が年内にも開始されるという予測が高まっており、それに紐付けされて利上げ観測も同時に高まっている状態です。オーストラリア準備銀行(RBA)は2020年11月から政策金利0.10%を維持している状態で、この金利差の見通しが豪ドル安に繋がっています。

また、資源国であるオーストラリアにとって右肩上がりの鉄鉱石の価格は追い風になっていましたが、2021年5月〜8月にかけての220ドルという高値圏から140ドル割れまで急落。「鉄鉱石の急落」が、豪ドル安の要因のひとつになっています。さらにオーストラリア最大の貿易国である「中国経済の低迷」が追い打ちをかけていて、上海総合指数は3400ポイントを割り込み2021年の安値圏まで下落しています。そしてアフガニスタン情勢が緊迫したことでリスクオフとなり、8月20日には一時78円も割り込んでいます。

デルタ株への対応策の方針転換

このように豪ドルはリスクにかなり敏感に反応することがわかります。ただし、その状況からやや持ち直しているのは、オーストラリアのデルタ株への対応策が転換されたためです。モリソン首相が掲げる「感染ゼロ対策」によって、メルボルン、シドニーは長期に渡りロックダウンが続いており、反対するデモ隊250人が逮捕される事態になっていました。しかし、8月23日に至って、モリソン首相は感染ゼロ戦略から方針転換し、入院率に注目していくことと、16歳以上のワクチン接種率が70%以上になればロックダウンしないことを明言しています。

この方針転換は、オーストラリア経済にとってポジティブな効果があるというのが市場の見方です。そのため豪ドル/円は80円台を回復しています。また、ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の声明が、ややハト派寄りでテーパリングの早期開始の可能性が薄れた点と、テーパリングと利上げは切り離して考えるという内容が、米ドル安・豪ドル高に影響しています。

2021年豪ドル/円のここまでの変動要因のポイント!
・複合的な要因によって7月より下落基調が続いている。
・オーストラリア政府のコロナ禍への方針転換は豪ドル高に影響。

2.2021年後半から2022年にかけて、ポンド/円で稼ぐための戦略

節目となる85円をブレイクできずに下落基調の豪ドル/円で稼ぐためには、どのような戦略が必要になるのかについてご紹介していきます。

85円に近づいたら逆張りのショートポジション

豪ドル/円での戦略は2021年当初にお伝えした通りのものを継続していく流れでいいでしょう。82円〜85円に上昇してきたら逆張りのショートポジション80円まで下げたら利確して逆張りのロングポジションといったもみ合いを想定した戦略です。

サポートラインは78で、下落してもこのラインで反発してくることが予想されます。オーストラリアはコロナ感染を先進国の中ではかなり押さえ込めており、ここからさらにワクチン接種率が高まれば、ロックダウン解除・経済活性化によって豪ドル高になっていくからです。

金融政策については、インフレ率が2.0〜3.0%を持続しない限り利上げはしない方針は変わらず、2024年以降になる見通しです。RBAのロウ総裁は、経済成長率を2022年は4.0%超、2023年は2.5%、インフレ率は2022年で1.75%、2023年に2.25%、6月に4.9%だった失業率については2022年に4.25%、2023年には4.0%という見通しを発表しています。一時期のリセッションからは予想以上に回復しているとも述べており、延期も予想された債券購入プログラムの量的緩和は、週50億豪ドルの購入から週40億豪ドルと実施されることも決まっています。

このような背景がありますので、下値についてはかなり強く支えられています。こうなると常にロングポジション一点でいきたいところですが、7月・8月の様子から豪ドルはやはりリスクオフの影響を強く受けることが浮き彫りになりました。きっちりと85円をブレイクするまではもみ合いを想定したトレードが最適です。ロングの順張りは85円のブレイクを確認してからにしたほうがよさそうです。

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ただし、トレンドが予想の逆になった場合、含み損と損切りが続いてしまう可能性がありますので、オーストラリアの情勢やオーストラリアに関係してくるリスクについてはよくアンテナを張り巡らして、状況によっては設定を変更する臨機応変さは必要になります。

2021年後半から2022年にかけて、豪ドル/円で稼ぐための戦略のポイント!
・78円〜85円のレンジでのもみ合いを想定し、逆張りで稼ぐ。
・もみ合い中で効果的に稼ぐために自動売買ツールのループイフダンを利用する。



3.豪ドル/円の為替相場見通しと稼ぐ運用戦略【2021年最新版】のまとめ

アメリカのテーパリングの早期開始予想や、中国株の下落、鉄鉱石の急落、アフガニスタン情勢の緊迫などいろいろな要因で豪ドル安に転じてしまったものの、豪ドル/円が78円でこらえたのは、やはりオーストラリアの経済面への期待感が強いためでしょう。ただし上値もまた限定的になっていますので、その辺りをうまく取引に反映していけば、スワップポイントには期待できないものの、為替差益で充分に稼ぐことができます。ぜひループイフダンを利用して効果的に利益を積み上げていきましょう。

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著者プロフィール
鈴木 拓也
鈴木 拓也

公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)

メガバンクの本店・香港支店で為替ディーラー業務を経験 ・東京工業大学大学院修士課程修了