こんにちは、元メガバンク為替ディーラーの鈴木拓也です。

高金利の新興国通貨として注目されているトルコリラですが、2021年はトルコリラ安が続いている状態です。9月に入って1トルコリラ13.34円台と、4ヶ月ぶりの高値を付けたものの、月末には10ヶ月ぶりに安値を更新し、12.45円まで下落しています。今回はここにきてのトルコリラ安の傾向と、トルコリラ/円で稼ぐための今後の戦略についてお伝えしていきます。

【今回の記事でわかること】
・2021年トルコリラ/円のここまでの変動要因
・2021年後半から2022年かけて、トルコリラ/円で稼ぐための戦略

※本記事は2021年9月29日までの情報を元に執筆しております。

1.2021年トルコリラ/円のここまでの変動要因

2020年からの下落トレンドが継続している状態のトルコリラ/円。何度か復調の兆しがあったのですが、その度にエルドアン政権の圧力によって覆っています。

エルドアン政権の政策金利に対するスタンス

2021年の年初の政策金利は17％でしたが、トルコ中央銀行のアーバル総裁は19％に引き上げました。トルコの高いインフレ率からすると妥当な判断だったのですが、エルドアン大統領は大統領令によりアーバル総裁を更迭し、後任にカブジュオール総裁を据えました。低金利による景気刺激策を望んでいるエルドアン大統領の意向によるものです。1トルコリラ15円台まで回復していた状態から一転、13円半ばまで急落しています。

そして9月23日、トルコ中央銀行は金融政策決定会合で、政策金利である1週間物レポ金利を19％から18％に引き下げました。このサプライズにより対米ドルに対してトルコリラは1.8％下落しています。トルコリラ/円が10ヶ月ぶりに安値を更新して12.45円まで急落したのはこの利下げによるものです。

トルコは実質マイナス金利の状態

8月のトルコのCPI（消費者物価指数）は、プラス19.25％ですから、19％の政策金利だったとしても実質マイナス金利です。トルコでは特に食料品の価格が高騰しているため、国民生活は苦しい状況で、このタイミングでの18％への利下げはほとんどのエコノミストが予想していなかった事態です。ロイター調査では、利下げを予想していたのは17人中でわずか2人だけだったと驚きの声をあげています。つまりトルコは経済専門家の見解の真逆の金融政策を行っているということです。カブジュオール総裁は視点をコアCPIに変えると、利下げという舵取りになるという見解で、今後さらに追加の利下げが行われる可能性があります。これにはもちろんエルドアン大統領の意向が強く反映されているのは間違いありません。実質マイナス金利の状態がさらに深刻化しているのが2021年9月時点のトルコの実状になります。

しかも9月FOMCでアメリカがタカ派の姿勢を明確にし、テーパリング開始や2022年の利上げ観測などが高まったことで一層トルコリラ安米ドル高の傾向が強まっています。ここに中国恒大集団のデフォルト危機のリスクが加わり、トルコリラを下押ししている状態です。アフガニスタンからアメリカ軍が撤退したことで難民危機が高まっていることも、トルコリラにとっては逆風となっています。

2021年トルコリラ/円のここまでの変動要因のポイント！
・エルドアン大統領によるトルコ中央銀行の金融政策の迷走ぶりで、トルコリラ安。
・アメリカのタカ派姿勢によってさらにトルコリラ安は加速。

2.2021年後半から2022年にかけて、トルコリラ/円で稼ぐための戦略

メキシコペソ/円や南アフリカランド/円では1万通貨で10円を割り込むようなプラススワップの中、トルコリラ/円は1万通貨40円以上のプラススワップとなっていますので、できればロングしたいところです。ここからはトルコリラ/円で稼ぐための戦略についてお伝えしていきます。

底が1トルコリラ12円なのかどうかの判断

なんとか1トルコリラ12円の強いレジスタンスラインを維持しているトルコリラ/円。ここが底なのだとしたら、今後のトルコリラ高の上昇分とスワップポイント分の両方で稼ぐことができます。とても魅力的なのですが、問題は12円を割り込んでさらなる安値を更新していく可能性が充分あるという点です。

2023年に総選挙が予定されているトルコですが、エルドアン政権の支持率は急速に低下しており、2022年中に解散総選挙の可能性も示唆されています。また、エルドアン大統領の健康面も不安材料のひとつです。現状よりも不安定な政局となり、カントリーリスクによるさらなるトルコリラ安も想定しておく必要があるでしょう。12円のレジスタンスラインをブレイクした場合、10円を割り込むリスクもあります。12円台が底だと思い込んで大量のポジションを保有してしまうと、為替差損でスワップポイントの利益分は簡単に吹き飛ぶので注意が必要です。

12円台で踏みとどまれるのであれば自動売買取引で稼ぐ

トルコリラ/円が12円台で踏みとどまれるのであれば、引き続き12円半ばから13円までの狭いレンジでのもみ合いが続くことになる可能性が高いです。狭いレンジでのもみ合いとなると取引回数を増やしていかなければなかなか稼げません。そこで利用したいのが24時間取引してくれる自動売買取引ツールです。これだと仕事や家事で忙しい中でも効果的に利益を積み上げていくことができます。

「システムトレードは難しいそう」という自動売買取引初心者でも、アイネット証券の「ループイフダン」であれば設定も簡単で、スムーズに裁量トレードから移行することができるのでお勧めです。値幅を狭く設定しておくとループイフダンは細かな値動きも見逃さずに売買を繰り返してくれます。しかもループイフダンのトルコリラ/円のスワップポイントは業界最高水準ですから、キャピタルゲインだけでなく、インカムゲインも期待できるのです。

注意点は12円台を割り込んだ場合です。こうなると買いと損切りが続いて損失が膨らんでいく可能性がありますので、トルコの情勢によっては一度取引を終了させて、設定を見直してください。自動売買取引とはいえ、完全に依存するのではなく、1日に一度はチャートを確認したり、ニュースを確認し、リスクに備えることが必要です。

2021年後半から2022年にかけて、トルコリラ/円で稼ぐための戦略のポイント！
・12円台のレジスタンスラインのブレイクに注意しながら、ロングで稼ぐ。
・12円から13円のもみ合いで効率的に稼ぐには「ループイフダン」が有効。

3.トルコリラ/円の為替相場見通しと稼ぐ運用戦略【2021年最新版】のまとめ

値頃感からするとロングしたい局面のトルコリラ/円ですが、やはりカントリーリスクにはかなりの注意が必要です。スワップポイントにばかり目を取られると足下をすくわれる危険性があります。ただし、9月発表の4-6月GDP成長率が前年同期比プラス21.7％とトルコ経済の回復の兆しが見られますので、買いのチャンスでもあります。トルコリラ/円を扱う場合は、許容できるリスクと、今後のトルコ政局・トルコ中央銀行の動向を確認しながら運用していってください。もみ合いが続く、上昇トレンドに転換するようであれば、ループイフダンをフル活用して稼ぐのがベストの選択です。

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