山中康司のループイフダン戦略レポート(2021年8月①)
ループイフダン「2021年8月の戦略」
●移動平均で攻めるループイフダン戦略(戦略概要)
長めのポジション保有を前提に「週足終値が20週移動平均線よりも上にあるか、下にあるかでトレンドを判断」します。ダマシを回避するため「実際の売買は、2週連続で終値が上か下というフィルター」をかけます。リスク管理はこれまで同様で最大ポジション数はドル円が10(その他は5)、損切設定はあり、とします。(*下線部分は昨年11月からの変更)
使用チャートは日々の動きを明確にするため、複数時間枠表示という手法で日足チャートに週足移動平均線を重ねています。階段状になっているのはそのためで、1週間(5営業日)単位で移動平均線の値が変化していることがわかります。また、週足終値の位置を間違えないよう、日足を1週間ずつ青い四角で囲ってあります。つまり、青い四角の中の最後の日足終値が週足終値と同じです。また紫の四角で1か月を囲み、各月の値動きもわかりやすくてあります。
ポートフォリオ全体の資金管理としては、以前の戦略と同様「1か月の最大想定損失額25万円以上に到達した通貨ペアに関しては、いったん全てのポジションを仕切った上で月末まで運用見送り」というスタンスです。なお、この状態で「ポジションが無い状態での翌月のエントリーは、2週連続で終値が上か下かというトレンドが確定した週末を待つこと」としています。つまり、再エントリーの場合でもフィルターをかけます。
ポートフォリオ全体としては、証拠金の6%を超える損失(当レポートでは30万円超の損失)で、全ての利益が出ているポジションも含めて成り行き決済とし、その場合は月末まで一切ポジションを持ちません。これは、複数通貨ペアで25万円以上の損失が出ることが無いようにするためのセーフネットです。
●ドル円
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※赤い線が移動平均線です。
7月のレンジ=109.06〜111.65
7月の戦略=B50を継続
7月のドル円は、多少の上下を挟みながらほぼ月初高、月末安の展開となりました。一か月を通して大きな材料となったのは米国のテーパリング思惑後退による金利低下と株安によるリスクオフの動きです。前者はパウエルFRB議長が以前から繰り返してきた通りですが、7月の議会証言、FOMCともにテーパリング議論は続けるものの、複数回の会合(原文でmeetingsと複数形のsが付いている)を経てと、実質的には9月以降であることを示した格好となります。また株安は中国株の下げが日本株に波及しリスクオフの円買いの動きとなりました。
ドル円は「B50」で継続運用しています。現時点のポジションは4単位、34,180円の含み損(平均約定レート110.518)となっていますが、昇局面での売り直しを待っている状態です。7月の確定損益は25,088円の利益となりました。
●ユーロ円
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7月のレンジ=128.59〜132.42
8月の戦略=S80を継続(7月16日終値で転換)
7月のユーロ円は、FRB同様にECBもテーパリング思惑を強くけん制してきましたが、第3週まではそうしたECBの金融政策思惑からユーロ売りが広がりました。さらにドル円の項で書いた通りですが、株安によるリスクオフの円高がクロス円でも見られ、ユーロ円は大きく水準を下げ、月末にかけてはユーロドルがレジスタンスラインを上回りテクニカルな買いが入ったことで買い戻されています。
ユーロ円は「B80」で運用していましたが、週足終値が移動平均線を2週連続で下回ったため、「S80」へとポジションを転換しました。この判定は16日に行われたため、本来は週明け19日に取引を行うべきですが、実際の転換は手違いで遅れて27日に行いました。現時点のポジションは1単位、210円の含み損(平均約定レート130.309)となっていますが下降局面での買い戻しを待っている状態です。7月の確定損益はポジション転換による損切りもあり87,793円の損失となりました。
●ポンド円
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7月のレンジ=148.45〜154.06
8月の戦略=S100を継続(7月23日終値で転換)
ポンド円もユーロ円と同様に上旬は株安によるリスクオフから円買いの影響が大きく一時148円台半ばまで水準を下げました。しかし、中旬以降は欧州の中でも一足早く経済活動正常化への道筋が見えてきたことからポンドドルに買いが目立ち、仕掛けて売った向きのストップオーダーも巻き込みながら下げる前の水準へと戻す動きとなりました。
ポンド円は「B100」で運用していましたが、週足終値が移動平均線を2週連続で下回ったため、「S100」へとポジションを転換しました。こ判定は23日に行われたため、本来は週明け26日に取引を行うべきですが、実際の転換は27日に行いました。現時点のポジションは1単位、600円の含み損(平均約定レート130.309)となっていますが、下降局面での買い直しを待っている状況です。7月の確定損益はポジション転換による損切りもあり44,579円の損失となりました。
●豪ドル円
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7月のレンジ=79.83〜84.18
8月の戦略=S80を継続
7月の豪ドル円は既に前月から上値の重たい展開となっていたところに中国株の下げが効いた格好です。資源国の豪州は貿易相手国として中国が最大の輸出先となっていますが、中国株の下げによる景気悪化懸念が響き、下げた後の戻しも弱いままで月末を迎えました。それまで上昇が大きかった分、ポジション調整も長引いている様子です。
豪ドル円は7月の月中レポートで書いた通りですが、7月9日に週足終値が移動平均線を2週連続で下回ったため、12日に「S80」へとポジション転換しました。現時点のポジションは2単位、1,055円の含み益(平均約定レート80.776)となっていますが、設定値幅での利食いを待っている状況です。7月の確定損益はポジション転換による損切りもあり43,603円の損失となりました。
●ユーロドル
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7月のレンジ=1.1751〜1.1908
8月の戦略=今後の戦略は以下の通りとします。
6月にいったん運用を停止、7月は新戦略を考える月とし、8月から運用を再開する予定でいましたので、今月はその戦略を説明させていただきます。
これまでの移動平均線の戦略(2週連続で週足移動平均線の上抜け・下抜け)はそのままに、ダマシを避けるために、移動平均線そのものの傾きもフィルターとして追加採用することとします。つまり、移動平均線の上抜け・下抜けが2週連続で確定した時に、上抜けであれば移動平均線の傾きが上昇している、下抜けであれば移動平均線の傾きが下降しているということです。
この移動平均線と終値の位置関係、移動平均線の傾きが一致していれば売買を行い、一致しない場合は当面は売買を見送り、と状況によってはポジションを持たない期間が長期化する可能性がある戦略です。収益機会はかなり減りますが、同様に損失の機会も減るため長い目で見れば同等であると思いますが、今後の状況によっては見直す可能性はあります。
直近の例で言うと、6月25日終値において2週連続で移動平均線を下回ったため、これまでの戦略では「S80」です。新戦略ではその時の移動平均線の傾きを確認しますが、移動平均線の傾きも下向き(階段状に下げている)となっているため、「S80」が確定となります。
現時点ではシグナルが出て時間経過も長いので、次に発生するシグナルから新たにエントリーを行います。
●カナダ円(チャート、ゾーンのみ)
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8月の戦略=「S80」を継続(7月23日終値で転換)
●スイス円(チャート、ゾーンのみ)
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8月の戦略=B80を継続
●ランド円(チャート、ゾーンのみ)
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8月の戦略=S50を継続(7月23日終値で転換)
●トルコリラ円(チャート、ゾーンのみ)
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8月の戦略=S50を継続
●メキシコペソ円(チャートのみ、ゾーンのみ)
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8月の戦略=B50を継続
(注)メキシコペソ円はデータ配信元の仕様でバーチャート表示となっていますが、移動平均線の計算には影響しません。
●NZドルドル(チャート、ゾーンのみ)
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8月の戦略=S80を継続
●豪ドルNZドル(チャート、ゾーンのみ)
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8月の戦略=S80を継続
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