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2021/04/28
シストレ活用事例

政情不安は為替にどう影響するの?政治とFXの関係を解説【お金マン】

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日本にいるとあまり感じることが少ないですが、世界を見渡すと、戦争や紛争のニュースが絶えることはありません。

戦争や紛争が起こったり、政治的な緊張感が高まったりすると、為替レートにも大きく影響を与えることになります。

今回の記事では、戦争・紛争や政治不安が為替レートに及ぼす影響について解説していきます。

この記事を読めば、

  • 政情不安が為替になぜ影響を与えるのか
  • 過去の政情不安の時の為替の動き
  • 政情不安、政治的なリスクが発生した際の立ち回り方

について理解することができます。



そもそも政情不安とは何か?

そもそも政情不安とは何なのでしょうか?

文字通り、「政」治の事「情」が不安定になることを指します。

具体的には、その国内において民族紛争が起こったり、テロが発生したり、現政府を打倒するためのクーデターなどがあげられます。

直近だと2021年2月から発生したミャンマー国内のクーデターが例にあげられます。
他にも、2011年のリビア内戦や、2015年のイエメン内戦、2016年に勃発したクルド人による自爆テロなども、政情不安につながる事件です。

国内だけでなく、海外との政治的な緊張感の高まりも、政情不安としてあげられます。

例えば、2018年から現在も続いている、米中貿易摩擦。

対中貿易赤字の解消と貿易不均衡の解消を目論んだ当時の大統領トランプ氏が、中国からの製品に対して高い関税を課すようにしました。

それに対し、報復措置として中国側もアメリカ製品に高い関税を課すようになり、政治的な緊張感が非常に高まりました。

このような出来事のことを政情不安と呼びます。

政情不安がなぜ為替に影響をもたらすのか

他国において今後の政治動向が不透明になり、先行きが不透明になると、円買いの圧力が高まり、円高ドル安が進行する傾向にあります。

近年では、2018年〜2019年に発生した米中貿易摩擦があげられます。

貿易摩擦が発生し、アメリカと中国は、けん制しながら互いの出方を伺っていました。

特に大国同士の政治的な対立が深まると、先行きの見通しが不透明になり、投資家はこうした不透明感を嫌います。

先行きの不透明感が強まると、投資家の心理的には、「今は株などのリスクの高い投資は控えて、安全資産にお金を移しておこう」という圧力が働きます。

日本円は、「有事の際の円」と呼ばれるほど、リスクオフの局面に買われる傾向にあります。

このような心理的な動きが背景にあり、円高ドル安が進行する可能性が高くなるのです。

政情不安の局面では、「金」が買われることも

「有事の際の円」と同じように、リスクオフの局面において買われやすい資産もあります。

それが「金」です。

金は、「有事の際の円」という認識が定まるよりもずっと前から、有事の際の資産逃避先として人気を博していました。

札束と異なり、金は実物資産であり、万が一のことがあれば金を持って逃げ出すことも可能です。

また、金は鉱物であるので、埋蔵量が限られています。

そのため、株や債券のように会社や国がつぶれたら無価値になるような資産ではなく、価値がなくなりません。

そして、金は世界中で価値を認められ価値が高いと思われているので、売ったり買ったりするときにすぐに買い手や売り手が見つかりやすいので、換金性の高い資産だと言えます。

そうした背景から、リスクオフのタイミングでは金に人気が集まりやすいのです。

政情不安の際の為替動向〜2001年 米国同時多発テロの際〜

まずは2001年9月11日に発生した米国同時多発テロの際のドル円為替レートについて紹介します。

チャートをご覧いただくと分かるとおり、9月11日に同時多発テロ事件が発生した直後からドル安円高に触れています。

それまで1ドル=120円台前後で推移していましたが、9月11日に米国多発テロ勃発後は、118円〜122円まで乱高下を続け、9月20日に向けて1ドル=115.83円まで円高が進行しました。

有事の際は、通常であれば米ドルも買われる傾向にあるのですが、この時は攻撃対象がアメリカだったこともあり、ドル買い圧力がかからなかったこともあり、円高が進行しやすくなっていました。



政情不安の際の為替動向〜1991年 湾岸戦争の際〜

1990年にイラクによるクウェートへの侵攻がきっかけで、国際連合が多国籍軍のイラクへの派遣を決定し、1991年1月17日にイラクを空爆して始まった戦争です。

空爆される前までは1ドル=135円前後を推移していましたが、空爆直後からドル安円高が進行し、127.6円近くまで円高が進行しました。

湾岸戦争は1991年の2月28日に終戦を迎えるのですが、多国籍軍が優勢だという情報が伝わると、反対に円安ドル高傾向に反発していきます。

開戦はマーケットに不透明感をもたらすのでリスクオフ相場になりやすく、終戦に近づくと戦争の見通しが明らかになっていることが多いので、リスクオンになりやすい、という教訓を得ることができます。

政情不安の際の為替動向〜 2018年〜現在 米中貿易摩擦〜

2018年から現在まで続いている米中貿易摩擦も、政情不安の1つです。

事の発端は、2018年の春先に、当時の大統領トランプ氏が中国の鉄鋼製品などの輸入品への関税強化を宣言したことです。

中国製品の関税を引き上げることで相対的に国内製品の価格競争力が高まり、売れやすくすることで国内の雇用を守ろうとしたのです。

その後も次々と中国製品の関税を引き上げていきますが、中国もこれに対して報復措置を取ります。

2018年の終わりには、中国製品のほぼ半分、アメリカ製品の約7割が関税をかけられるようになり、関税による戦争は泥沼化していきます。

その後、2018年の年末には一時休戦になりましたが、翌年2019年に5月には閣僚級の交渉が決裂し、再度関税の競争が再度復活してしまいました。

2019年5月に関税の競争が再度勃発してしまうと、2国間の政情不安を感じた投資家は、ドル売りを進めて、結果円高ドル安のトレンドが発生してしまいました



まとめ

今回の記事では、政情不安がもたらす為替への影響について、具体的な事例を用いながら解説していきました。

政情不安とは、文字通り政治的なリスクが発生する局面のことを指し、政治リスクが顕在化してきたタイミングでは、円や金など安全資産と呼ばれる通貨が買われやすい傾向にあります。

過去には、1991年の湾岸戦争や2001年の米国同時多発テロなど、テロ事件や戦争が勃発したことがありますが、その際も、勃発直後はリスクオフの円買いが加速する傾向にあります。

また、2018年の米中貿易摩擦においても、直接的な戦争ではありませんが、関税を通した戦いが勃発しており、政治的な不安要素が高まったことを受けて、円高トレンドになりました。

このように政情不安が発生するタイミングでは、円が買われて円高トレンドが発生する可能性が高いです。

また、リスクオフ相場の際は金相場も安定して推移する傾向があります。

そのため、政情不安が発生しリスクオフ相場に移行したタイミングでは、円や金など安全資産に資金をシフトさせることで、短期的なトレンドに乗っかり、利益を出していきましょう。

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著者プロフィール
お金マン
お金マン

2017年の仮想通貨バブルで投資の世界に参入。資産運用のためスワップポイント、自動売買に惹かれFXを開始。現在はスワップポイント等に限らず、レバレッジ取引、自動売買botの自作など、幅広くFXをしています。