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2020/06/26
資産運用全般

2020年の為替相場の「ルール」について【Yuki】

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こんにちは。為替研究所のYukiです。

最近Twitterや見通しの寄稿などで、「通常のリスクオフの動き」とか、「今回のはリスクオフのドル円上げパターンなので危ないかも」とか書くことが増えてきており、そういえば、Twitterや個別の記事などでちょくちょく書くことはあっても、2020年に入っての「為替相場のルールの変更」についてあまりまとめてしっかりと書いたことがなかったなと思いだしたので、今回はそれを書きたいと思います。



2019年までの為替相場の「ルール」

2019年までは、基本的に為替の動きは、

  • 米中対立や中国経済への見通し悪化、株価の下落等、世界経済へのリスクが高まれば円>ドル>その他通貨(基本的には新興国通貨程弱くなりやすい。また、そのリスクの「震源」に近いところは下がりやすく、例えば中国への不安であれば中国との関係が深い豪ドルやNZドル、トルコショック等の時は当然トルコリラというような感じ)
  • 逆に世界経済への見通しが好転すれば、その他通貨>ドル>円(ただし、ドルは状況次第ではその他通貨より上げることもあった)

というようなイメージでした。このリスクオン・オフには、米国の雇用統計やISM製造業景況指数等の経済指標や、欧州のPMI等が大きく影響することも多く、指標発表日は為替や株価の動向にかなり注意する必要がありました。

また、それ以外にも、「利上げはその通貨にとってポジティブ、利下げはネガティブ」というものもあり、金融政策が市場の予想外であれば、相場にも大きな影響を与えることが多くありました。

このように、2019年までは、非常に分かりやすいルールで為替相場は動いており、「リスクオフは円高」「利下げは通貨下落」というようなルールでした。



2020年に入ってからの為替相場の「ルールの変更」

ところが、2020年に入ると、この法則が必ずしも当てはまらなくなりました。その原因は当然「コロナショック」であり、新型コロナウィルスの出現から、リスクオフと言っても、「通常のリスクオフ」と、「コロナ後のリスクオフ」の2パターンが出るようになりました。

コロナショックの時には、株価がリスクオフで急激に下がる中でドル円が急上昇し、逆に株価が戻している中でドル円が下げるという展開がありました。

 

【ドル円とダウの日足チャート】

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しかも、このコロナショック時のドル円の上昇時は、FRBが緊急利下げをする等、通常であれば「サプライズの利下げによる下げ」が予想される中での上昇でした。

 

これは「株価が急激に下がりすぎた結果、現金への需要が高まり、そうなると世界の基軸通貨であり、最も流通量の多いドルがまず買われる」ということによる上昇で、実際にこの時は、通常であればリスクオフの時に上がる金も含めて売られ、通貨ペアの上下も、基本的には「流通量の多い順」になっておりました。

 

【3月月初を1としたときの3/19までのチャート(指数)】

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このように、当時は

ドル>円=ユーロ>>>>ポンド=ランド>豪ドル

というように、豪ドルとランドの位置関係はともかくとして、基本的には流通量の多い順番に強いというように、「現金化」のニーズがいかに強かったかが分かります(当時はエネルギー資源の下落を嫌ってか豪ドルがひたすら売られておりました)

 

ただし、最近では株価が下げる時に、円>ドル>その他通貨という「通常のリスクオフ」のパターンも出てきたり、NZドル等は金融政策発表のタイミングで上下する等、相場についても「徐々に日常を取り戻す」状態にもなっております。

 

とはいえ、コロナ第二波の警戒感はかなり高まっており(むしろ世界的には感染は拡大傾向が続いている)、また、米中対立や、あるいは米大統領選リスク等、相場についても「第二波」がいつあってもおかしくはない状態になっております。

 

私が相場で今一番注目しているのは、「株価が下げた時に、他に何が下がっていて、他に何が上がっているか」で、この時「金が上がり、円>ドル>その他通貨の順番」であればただの調整だなと思う反面、「金が下がり、VIXが急激に上がり、ドル円は上げる一方その他クロス円が下落」というような時は、「これはまずいかも」というように警戒するようにしております。

 

実は、6月に入ってから、こういう「まずいかも」という動きが何回かあり、今のところは結局最終的には「通常のリスクオフ」の動きに収束しているものの、ダウも25,000という重要な節目での攻防を繰り広げており、油断できない展開だなと見ております。

 

ただし、コロナショックによる大きな下落があったことで、市場の目線がショートに偏りやすくなっているのもまた事実で、その点で「一瞬下げて、そこで売った人を吊るし上げる」という展開も何度も見てきたパターンではあるので、「売れば勝てる」とも言い難く、今はやりづらい状況だなあと見ております。



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今後もルールが大きく変わりそうな通貨

個人的に今注目しているのが「豪ドル」で、この通貨については、今後大きなルールの変更があるんじゃないかと予想しております。

 

これまでこの通貨は、

  • 中国との関係性
  • 先進国の中で相対的な高金利

という点で注目されやすく、ある意味で「中国と金利情勢」で動くような通貨だったのですが、2020年に入ってから

  • 新型コロナの関係で豪中関係がこれまで以上に悪化している(2019年までも対立が深まったりしてましたが、これまでの比じゃないレベルで悪化している印象)
  • 政策金利が0.25%と、最早ほぼゼロ金利の通貨になった

という変化があり、「中国と金利情勢」の通貨とは言えなくなっております

 

これは2019年までのルールであれば、「じゃあ戻りを売ればいい」というだけの簡単な話だったのですが(実際私も2018年から2019年にかけては豪ドルの戻り売りで割と勝ってました)、今はオーストラリアには「独自の強み」があり、それは

  • 新型コロナウィルスの被害が比較的小さく、また、地理的にも他の大陸と大きく離れて出入り制限がやりやすい
  • 公的債務残高が少なく、今後「各国の財政リスク」が注目される展開になった時に、上記コロナのダメージの少なさも相まって大きなアドバンテージがある
  • また食糧自給率も高い(世界的にはコロナだけでなくバッタ問題もあり、食糧リスクは実は今かなり上がっています)

という点であり、こうしたオーストラリアの強みに注目されるような展開になれば、思っていた以上に大きく上がり、しばらく戻って来なくなる可能性もあります。

 

これがどちらに転ぶかについては、正直分からない面もありますが、ただ、各国の財政リスクがどこかのタイミングで問題になってくるのはほぼ確実だと考えているので、豪ドルを戻りで売るのは今は控えておきたいなというのが正直な印象です(一方で、低金利かつ中国との関係も著しく悪化している中で買いたいともあまり思わないので、買いも推奨しがたい)

 

豪ドルをトレードする場合、このようにあまり買いでも売りでもトレードはしづらい展開ですが、ただ、豪ドルとほぼ同じ動きをするNZドルを絡ませた豪ドル/NZドルであれば、今もかなりトレードしやすい環境だと考えており、実際コロナショックがあっても大きく利益を伸ばすことができているので、今はこの通貨ペアでやるのがいいかなと思ってます。

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著者プロフィール
Yuki
Yuki

FX歴10年超のファンダメンタルズ派トレーダー。主に短期から中期でのトレードを得意としており、最近は自動売買やスワップ投資も行っております。 2010年より為替研究所を運営。相場の見通しや、FXでのおすすめの投資方法などを分かりやすく解説しております。 ループイフダンでは、豪ドル/NZドルやトルコリラ等を運用中。