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2026/09/15
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「人手不足なのに失業者がいる」のはなぜ?有効求人倍率と完全失業率の違い

#経済指標_ニュース解説
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本音声は、記事をもとにAIを活用して制作しています。一部、発音やイントネーション、漢字の読み方が不自然または正確でない場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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「人手不足で採用できない」という企業の声がある一方で、失業者も存在しています。一見すると矛盾しているようですが、人手不足と失業は同時に起こり得ます。

理由を理解するカギになるのが、「有効求人倍率」と「完全失業率」の違いです。

2つはどちらも雇用情勢を見る代表的な指標ですが、対象とする人や計算方法が違います。

1.有効求人倍率と完全失業率が示すこと

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2026年8月28日、厚生労働省と総務省統計局から7月分の雇用関連統計が公表されました。
主な数字は次のとおりです。

指標2026年7月前月との比較
有効求人倍率1.18倍同水準
完全失業率2.4%0.1ポイント低下

いずれも季節による変動を取り除いた「季節調整値」です。

有効求人倍率が1倍を上回っているため、ハローワークに登録された求職者数より求人数のほうが多い状態です。
完全失業率は2.4%。こちらは、働いている人と仕事を探している失業者を合わせた「労働力人口」のうち、完全失業者がどれくらいいるのかを表した数字です。

ここだけを見ると、「求人のほうが多いなら、なぜ仕事が見つからない人がいるのか?」という疑問が出てきます。

しかし、有効求人倍率と完全失業率では、そもそも見ている対象が違います。
この違いを知ると、人手不足と失業が同時に存在する理由も見えてきます。

2.完全失業率とは

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完全失業率とは、労働力人口に占める完全失業者の割合です。

労働力人口とは、大きく分けると、「働いている人」+「仕事を探している完全失業者」を合わせたものです。そのため、完全失業率2.4%だからといって、「日本の人口の2.4%が失業している」という意味ではありません。

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総務省統計局では、完全失業者を、おおむね次の条件を満たす人としています。

  • 仕事に就いていない
  • 仕事があればすぐに就くことができる
  • 仕事を探す活動をしていた

重要なのは、ハローワークを利用している人だけではないという点です。
民間の求人サイトを利用したり、求人広告を見て応募したり、知人などを通じて仕事を探したりしている人も、条件を満たせば完全失業者に含まれます。

反対に、仕事をしていなくても、求職活動をしていない人は原則として完全失業者には入りません。
例えば、仕事に就きたい気持ちはあっても「今は仕事を探していない」という人は、完全失業率の計算上、非労働力人口に分類される場合があります。

つまり、完全失業率は「仕事をしていない人全体の割合」ではなく、働く意思があり、実際に求職活動をしている人を中心に見た指標なのです。

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3.有効求人倍率とは

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有効求人倍率は、厚生労働省がハローワークのデータをもとに公表しています。

計算方法は、以下の通りです。

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「有効求人」には、その月に新しく受け付けた求人だけでなく、前月から引き続き募集している未充足の求人も含まれます。
「有効求職」も同じように、新たに求職を申し込んだ人と、前月から引き続き求職している人を合わせています。

2026年7月の有効求人倍率は1.18倍でした。
イメージとしては、ハローワークで仕事を探している求職者100人に対して、118人分程度の求人がある状態です。

ここで注意したいのが、「求職者1人につき1.18社の就職先が用意されている」という意味ではないことです。

求人数は企業数ではなく、募集している人数をもとに集計され、同じ企業が複数人を募集することもあります。

さらに、有効求人倍率はハローワークで扱われている求人・求職が対象です。

民間の求人サイトや転職エージェントなど、労働市場に存在するすべての求人・求職を網羅した数字ではありません。

完全失業率と比べると、違いはかなり明確です。

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同じ「雇用統計」でも、見ている角度が違うのです。

4.「人手不足」と「失業者」が同時に存在する理由

では、求人の数が求職者を上回っているにもかかわらず、なぜ失業者がゼロにならないのでしょうか。
大きな理由が、求人側と求職側のミスマッチです。
企業が求めている人と、仕事を探している人の条件がすべて一致するわけではありません。

職種が違う

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例えば、介護や建設、ITなどで人材を募集していても、仕事を探している人が事務職を希望していれば、その求人には応募しない可能性があります。
「求人がある」ということと、「自分が希望する求人がある」ということは別です。

厚生労働省の労働経済白書でも、職種によって求人数と求職者数のバランスが異なることが分析されています。

過去の分析では、事務職では求職者が多い一方、介護・福祉職では求人側が多いといった構造的なミスマッチがみられました。

地域が違う

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求人のある場所と求職者が住んでいる場所が違うこともあります。
実際、2026年7月の就業地別の有効求人倍率は、福井県と山梨県が1.69倍だったのに対し、大阪府は0.95倍でした。
全国平均が1.18倍でも、地域ごとの状況は同じではありません。
引っ越しや長時間通勤が必要になれば、求人があるからといって誰もが応募できるわけではないでしょう。

技能や資格が合わない

企業側が特定の経験や資格を必要としている場合もあります。
求人が100件あっても、そのすべてに応募できる人が100人いるとは限りません。
専門的な知識や経験、資格が必要な仕事では、単純な人数だけでは測れない需給のズレが起こります。

給与や勤務条件が合わない

勤務地や仕事内容だけでなく、給与、勤務時間、休日、雇用形態なども仕事選びの条件です。
企業側は「募集しているのに応募が来ない」、求職者側は「働きたいが条件に合う求人がない」。
この2つは同時に起こります。

さらに、転職や離職の途中で一時的に失業状態になる人もいます。人が仕事から仕事へ移るには一定の時間が必要なため、求人が十分にある経済でも失業率が完全にゼロとは限りません。

求人総数と求職者総数だけを比べても、職種・地域・技能・待遇まで自動的に一致するわけではない。
これが、「人手不足なのに失業者がいる」という現象を理解するうえで最も重要なポイントです。

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5.雇用統計と景気・賃金・金融政策・為替のつながり

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有効求人倍率と完全失業率は、単なる就職・転職の統計ではありません。
景気を見るうえでも重要な指標です。

景気が良くなり企業活動が活発になると、企業は人員を増やそうとして求人を増やすことがあります。その結果、有効求人倍率が上昇し、その後、採用が進めば失業率が下がっていく可能性があります。
ただし、2つの指標が同じタイミングで動くとは限りません。

内閣府の景気動向指数では、有効求人倍率(除学卒)は景気とおおむね一致して動く「一致系列」、完全失業率は景気に遅れて動く「遅行系列」に位置付けられています。
企業は景気の変化を感じても、すぐに採用人数や雇用を大きく変えるとは限りません。

雇用には景気の変化が表れるまで時間差が生じることがあります。

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人手不足は賃金や物価に影響することもある

労働市場が引き締まり、人を採用しにくくなると、企業が採用や人材定着のために賃金を引き上げる圧力になることがあります。
賃金が上昇すれば家計の所得を押し上げる一方、人件費の増加が企業の価格設定に影響する可能性もあります。
日本銀行も経済・物価の先行きを判断する際、企業の賃金・価格設定行動などを重要な要素の一つとして見ています。

ただし、「失業率が下がったから利上げ」「求人倍率が上がったから物価が上昇する」と単純に決まるわけではありません。
金融政策は、物価、賃金、景気、海外経済、金融市場など多くの情報をもとに判断されます。

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為替市場でも雇用統計が注目される

雇用統計が為替市場で注目されるのも、金融政策とのつながりがあるからです。

雇用情勢が市場の予想以上に強ければ、「景気が強い」「賃金や物価への上昇圧力が続くかもしれない」「中央銀行が金利を高めに維持するのではないか」といった見方が広がり、市場の金利予想が変化することがあります。その結果、為替相場が動く場合があります。
特に米国では、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融政策を運営するうえで「最大雇用」と「物価の安定」を重視しているため、失業率をはじめとした雇用関連の統計は金融政策の先行きを考える材料として注目されています。

ただし、「雇用統計が良ければ必ずドル高」といった決まった関係があるわけではありません。
市場予想との差、過去の数値の改定、インフレ率、すでに金融市場がどこまで織り込んでいたかなどによって反応は変わります。
日本の有効求人倍率や完全失業率についても、1回の数字だけで判断するのではなく、賃金や物価などと組み合わせて見ることが大切です。

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まとめ 求人が多くても、仕事が自動的に見つかるわけではない

2026年7月の有効求人倍率は1.18倍、完全失業率は2.4%でした。
この2つの数字は矛盾しているわけではありません。

有効求人倍率は主にハローワークに登録された求人と求職者のバランスを表し、完全失業率は労働力人口のうち完全失業者が占める割合を表します。
そして、求人が求職者より多くても、職種、地域、技能、給与や勤務条件などが一致しなければ就職には結び付きません。

ニュースで「人手不足」という言葉を聞いたときも、「日本中のあらゆる仕事で人が足りない」と考えるのではなく、どの業種・職種・地域で不足しているのかを見る必要があります。
有効求人倍率と完全失業率を一緒に見ることで、単純な「求人が多い・失業者が少ない」という数字だけでは見えない、日本の労働市場の姿が見えてきます。

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失業率に関するQ&A

Q1. 有効求人倍率1.18倍なら、求職者は1.18社から仕事を選べるということですか?

A. いいえ。有効求人倍率は、有効求人数を有効求職者数で割った数字です。

企業数ではなく募集人数をもとにした求人を用いており、職種や地域、必要な技能なども考慮されていません。1.18倍だからといって、すべての求職者に希望条件に合う求人が1件以上あるという意味ではありません。

Q2. 完全失業率2.4%なら、残りの97.6%は全員働いているのですか?

A. 違います。完全失業率の分母は日本の総人口ではなく「労働力人口」です。

学生や家事をしている人、求職活動をしていない人など、非労働力人口に分類される人は分母に含まれません。

Q3. 人手不足を見るなら、有効求人倍率と完全失業率のどちらを見ればよいですか?

A. どちらか一方ではなく、両方を見ることが重要です。

有効求人倍率からは求人と求職の需給バランス、完全失業率からは労働力人口の中で仕事に就けていない人の割合が分かります。さらに職種別・地域別の求人状況や企業の人手不足感などを組み合わせると、雇用情勢をより立体的に捉えられます。


 

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著者プロフィール
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飲食から金融まで多彩な現場を渡り歩く、猪突猛進なアイネット証券の社員。データと歴史から知恵を拾い集め、難しい投資話を「面白く、深く」紐解くことをモットーとする。

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