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よく比較されるFXと外貨預金、実は天と地ほどの違いがあります【鹿子木健】

FXと外貨預金は、どちらも外貨を運用対象にしている投資商品です。そのためよく似たものと考える人は多いかもしれませんが、実はこの両者には天と地ほどの違いがあります。
その違いを紐解いていくと、仕組みを理解してうまく使えばFXが投資家にとってメリットの多い投資商品であることが分かります。
1.FX口座に置いているお金には25倍の価値がある
日本国内のFX口座で可能なレバレッジの倍率は、最大で25倍です。口座にあるお金を証拠金として、最大で25倍の規模で資金を運用することができます。
FXのレバレッジの仕組みについては「敵にも味方にもなるレバレッジとの付き合い方を考える 」をご参照いただくとして、今回はこのレバレッジがもたらす外貨預金との根本的な違いについて解説したいと思います。
100万円の資金を投じると仮定します。外貨預金の場合は100万円がそのまま運用資金となり、あらかじめ選んだ国の通貨で運用することになります。
これに対してFXでは、口座に100万円があると、最大で2,500万円分の運用が可能な状態になります。まだ何も売買をしていなくても、「2,500万円分の売買ができる」状態が手に入ります。実質的にお金を借りているのに近い状態ではありますが、利息の負担が発生するわけではありません。
外貨定期預金で運用している場合の金利が5%だとします。FXでこれと同じ通貨で運用した場合、仮に全資金を投じたとすると2,500万円に対して5%の運用益が得られます。このようなハイレバレッジ取引はリスクが高いためおすすめしませんが、理論上は同じ資金で25倍の運用益が得られることになります。
FXには、スワップポイントが高い通貨ペアでポジションを長期保有する運用手法があります。実質的に外貨預金と似た効果が得られる手法ですが、例えば資金の半分を使ってポジションを保有し、残り半分は相場の逆行に備えて資金をプールしておくこともできます。
このように手持ち資金の半分50万円を証拠金とするだけでも50×25=1,250万円分の運用ができるため、レバレッジを25倍までかけられるFXは、外貨預金と比べると利回りは12.5倍になります(いずれも税金は考慮しないものとする)。
2.FXにはキャッシュがある、外貨預金にはキャッシュがない
先ほど、相場の逆行に備えて資金をプールしておく考え方について述べましたが、これも外貨預金にはなくFXだけにある概念です。
外貨預金は、定期預金を始める日に銀行で日本円を外貨に両替し、それを外貨で運用します。つまり預け入れる日の為替レートが全資金に適用されます。
預け入れた翌日から為替レートが逆行したとしてもそれを受け入れるしかなく、満期になる日までには為替レートが元に戻ることを願うしかありません。
これに対してFXでは手持ちの資金の全部を投じずに一部の資金だけで運用を始めることができます。敢えて残した資金を使って、運用が始まってからの相場の動きに応じてポジションを調整することもできます。
例えばドル円が1ドル=150円の時に買いポジションを建てて毎日のスワップ収入を得る運用をしている際にドル円が145円に下落したとしても、残りの資金の一部を投じてポジションを増やせば平均取得レートが下がります。
さらにポジションが増えるため日々のスワップ収入も多くなります。つまり、運用中に暴落が発生したとしても、それをチャンスに変えることができるわけです。
こうした柔軟な対応ができるのは、「キャッシュ」があるからです。外貨預金の場合は全資金が拘束されるため満期になるまでできることは何もありませんが、FXの場合は投資家の意向や事情に応じた柔軟な対応が可能になります。
3.FXは「いつでも解約できる外貨預金」にもなる
投資には必ず出口があります。出口によって投資が成功したかどうかの結果が確定するわけですが、この重要な出口戦略においても、FXには高い柔軟性があります。
外貨預金は外貨による定期預金であるため、文字通り「定期」の預金です。預け入れをした日から6ヶ月後、1年後といったように投資家が選んだ期間を経て満期を迎える仕組みになっています。
満期になるまでの期間は、原則として解約や引き出しはできません。仮にできたとしても中途解約利率といって満期時に適用される利率よりも低い利率になることが多く、実質的にほとんど金利がつかなくなります。
FXのスワップポイントは毎日発生するため、スワップ受け取りのポジションを保有し続ける限り、毎日加算され続けます。定期預金ではないため満期という概念がなく、投資家の意向でいつでもポジションを増減させたり、すべて決済して運用を終了することもできます。
一般的なFXのスワップ運用ではドル円や豪ドル円、NZドル円といった日本よりも金利の高い通貨を買うポジションを保有するケースが多いですが、これらの通貨ペアは円安になるとレートが高くなります。
自民党の総裁選挙で高市総裁が誕生した頃から、一時は沈静化していた円安が再び進行しました。そのため、これらのポジションを保有していることで含み益が大きくなった投資家は多いと思います。
外貨預金だと「今が満期ならいいのに」と思うところですが、FXであれば含み益が大きくなったタイミングで決済し、含み益とそれまでのスワップ収入を運用益として確定させることができます。
このように「いつでも解約できる外貨預金」として柔軟な運用ができるのも、FXのメリットのひとつといえます。
【注意事項】
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