『1ドル360円時代』を知ってる?当時に比べたら今は円高だから安心は大間違い!
円安が急速に進んでいることが、連日のようにメディアで報じられています。
2016年から2022年頃まで、円相場は、およそ1ドル105円から115円を安定的に推移していました。
しかし2024年7月現在までのわずか約2年で、160円を突破するまでに急変動しています。
円安、つまり日本円が、外貨に対して安くなることで、
さまざまなものを輸入に頼って生活している日本は、大きな打撃を受けています。
一方で、
かつて円相場は、 1ドル360円の時代があったことをご存知でしょうか?

知らなかった方は、
「なんだ今は、むしろ円高?」
「メディアが騒ぎすぎ?」
と感じる方もいるかもしれません。
そこで今回は、
1ドル360円の時代と現在の生活の違いについて考察してみました。
もちろん、単純に1ドル360円の時代と現在とでは、比較はできないものの、一定の角度から考えてみることで金融リテラシーを高めることにもなるかと思いますので、
ぜひ一緒に考えてみましょう!
1ドル360円の時代があった!
冒頭でもお話ししたように、かつて円相場には、1ドル360円という時代がありました。

それは1950年から70年代のことです。
かつての日本はブレトン・ウッズ体制という制度に参加しており、
円とドルの交換比率が固定されていました。
ブレトン・ウッズ体制とは、アメリカを中心に作られた為替相場を安定させるメカニズムで、
第二次大戦後の復興の要となる貿易をスムーズに行うことを目的に作られました。
1944年、アメリカのブレトンウッズホテルに、40ヵ国以上の連合国の代表が集まって決められたため、ブレトンウッズ体制と呼ばれています。
この制度の根本にあるのが、
米ドルをブレトン・ウッズ体制参加国の中心となる通貨とし、金1オンス(約28グラム)を35ドルと決め、金1オンスと35ドルの交換を保障する、金・ドル本位制です。

そのうえで、
複数の参加国の通貨と、米ドルの交換レートを固定しました。
つまり、当時は、日本円を含む多くの通貨は、このとき、ドルを挟んだ金本位制のような状態だったといえます。
しかしその状態は長くは続きませんでした。
1970年代に入ると、日本経済がアメリカを追い上げる急成長をみせ、昔決めた円とドルの交換レートは時代に見合わなくなってきました。
さらに、ドルは金との交換を保障していたものの、ドル自体の発行量が増える一方で金の流通量はそれほど変わらないことから、アメリカ政府は金とドルのレートを維持することが難しくなってきたのです。
そして1971年8月15日、当時の米大統領リチャード・ニクソン氏は、ドルと金の交換を停止すると発表しました。
これが、ニクソン・ショックと呼ばれる出来事で、日本円は固定相場から変動相場制に移行します。
その後一時的に、固定相場制への回帰の試みもあり、1971年12月には1ドル308円とするスミソニアン協定が結ばれますが、為替相場の再度の混乱により、1973年2月以降は再び変動相場制に戻ります。
そして1980年代には、1ドル120円台まで急速に円高が進みました。

1ドル360円が、1ドル120円になると、ドルに対して円は3倍も値上がりするということ。これは、国民生活に大きな影響をもたらしました。
たとえば、3万ドルの輸入車を日本人が買うには、1ドル360円の場合、1,080万円もの金額が必要となります。
しかし、1ドル120円の場合、同じ3万ドルの輸入車を買うには、360万円で買えるのです。
この例は輸入コストなどを考慮しない単純計算ですが、強い円は、日本が豊かになったことの象徴ともいえるでしょう。
当時よりも現在はピンチ!?
さて、今の日本は円安で物価が上昇するなど、国民の生活は厳しさを増しています。
とはいっても、
1ドル360円の時代と比べれば、十分に円高。
では、当時と現在では、国民の生活はどのような違いがあるのでしょうか?
時代が異なるため単純に比較はできませんが、「ある指標」からは、今のほうが当時よりもピンチだと言えます。
そのある指標とは、「実質実効為替レート」です。
実質実効為替レートとは、
単に為替レートを見ただけでは分からない、 物価変動を考慮した通貨価値を示すレートのことです。
こちらの図の縦軸、実質実効為替レートの値が高くなるほど、円の実質的な価値は高いことになりますが、
1970年を100とすると、1995年には240を超えてピークを打つと、2024年現在は100を割り込み90台まで下落しました。

「物価変動を考慮に入れた通貨の価値ってどういうこと?」
という方もいらっしゃるかとおもいますが、次のように考えてみましょう。
1970年から現在までの間でアメリカの消費者物価、
つまり通貨に対する物の値段は、約8倍に上がりました。
一方で日本の消費者物価は、約3.5倍しか上がっていません。
大昔の1万円は大金だった、と言われますが、その意味でいえば、昔の米ドルこそ、昔の円以上に大金だったといえますよね。
そして、その強い米ドルを1ドル=360円で交換できた円は、見かけの為替レート以上に価値があり、生活必需品などを多く買うことができたことがわかります。
このように、
「実質実効為替レート」でみると、1ドル360円だった1970年代よりも今のほうが、円の購買力は低く、日本国民の生活は諸外国よりも厳しい状況にあるといえるのです。
これからの時代は自助努力が必要!
さて、そんな深刻な円安が進んでいる今、これを食い止める策を国は何か考えているのでしょうか?
残念ながら、現段階では、政府が国民を守ってくれるだろう、という考えは、甘い見通しなのかもしれません。
「日銀が利上げをすれば、円の価値が上がり円を欲しがる人が増えて買われることで、円安を食い止められる」
という意見もありますが、
2022年3月から5%以上の大幅な利上げを実施したアメリカに対し、
日銀は、何度も調整を重ねた結果わずか-0.1%だった金利を+0.1%と、かろうじてマイナス金利を解除するに留まっています。
大幅な利上げは、企業や個人の借り入れを抑制するので、結果的に消費を抑制し、経済を停滞させてしまいます。
しかし、日本は利上げに耐えられるほど好景気とはまだ考えられていないので、大幅な利上げは期待できないでしょう。
また、日本政府はたびたび円を市場で買い円高に誘導する為替介入をおこなっていますが、一時的かつ限定的な効果に留まっており、円安トレンドは変わっていません。
その為、円の価値が下落するリスクに対しては、政府に期待するだけでなく、 私たち一人ひとりの自助努力が必要といえるでしょう。
仕事のキャリアアップにより収入を増やしたり、これまで以上に節約を心がけて物価高に備えたりするだけでなく、
外国株への投資、FXを通じた外貨の保有など、円安に強い資産配分を構築しておきたいところですね。
まとめ
今回は、1ドル360円の時代と今はどちらがピンチなのか?
を題材に、急速に進む円安について考えてきました。
過去と今を同じ尺度で比べることはできませんが、
実質実効為替レートの観点からは、
円を保有する日本人の購買力は世界基準でみると下がり続けていて、
生活は、1ドル360円の時代よりも厳しい状況といえます。
また、日本政府もそうした急激な変化にうまく対応できているとはいえません。
これからの時代、私たち一人ひとりが円安や物価高に対応していくことも、求められていくでしょう。
たとえば、円安の影響を受ける日本円を保有するのではなく、FXなどの資産運用を活用し、外貨に目を向けることも大切です。
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