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トレンドフォローはあなたが考えるほど簡単ではありません【鹿子木健】

相場格言に「トレンドイズフレンド」という言葉があります。そのためか、「逆張りよりもトレンドフォローの方が利益を取りやすい」という風潮が強いと感じます。
しかし、トレンドフォローは皆さんがイメージするほど簡単ではありません。そもそも相場は「○○をすれば勝てる」というものではないのです。
今回はトレンドフォローの難しさについて解説していきます。
1.トレンドに乗ることは簡単なのか
トレードの手法において、上昇していく局面では買い、下落していく局面では売りで売買するトレンドフォローがおすすめされることが多いです。
そのため、「トレンドに乗れば勝ちやすい」「トレンドフォローをすれば利益を取りやすい」と単純に考えている人も少なからずいるのではないでしょうか。
しかし、「トレンドに乗る」のはそんなに簡単なことではありません。トレンドに乗るだけで勝てるのであれば、誰もがお金持ちになれているはずです。
現実はどうでしょうか。上昇トレンドだと思ってエントリーしたらそこが天井で、エントリー後すぐに下落して損失となってしまった。もしくは、下落トレンドだと思って売りエントリーしたら大底で、反転上昇して含み損を抱えてしまったという経験は、トレードをやっていたら何度もあると思います。
トレンドに乗るためには、クリアするべき3つのポイントがあります。そして、この3つのポイントをクリアするのは、非常に難しいことなのです。
2.三つのポイントをクリアする必要がある
トレンドに乗るためにクリアしなければならないポイントは以下の3点です。
・今がトレンドだと判断できる
・トレンドが今後も続くと判断できる
・トレンドの強さを判断できる
一つずつ解説していきます。
・今がトレンドだと判断できる
トレンドに乗るためには当たり前ですが、今トレンドが出ているかどうか分からないといけません。「なんだ、簡単じゃないか」と思われるかもしれませんが、相場がどう動くかは誰にも分かりません。
例えば、過去のチャートを見て「ここは上昇トレンドだから買いだ」、「ここは下落トレンドだから売りだ」と判断することは容易です。
しかし、実際に取引する時のチャートは右側は全て白紙で、トレンドがいつ始まるかは誰にも分かりません。
誰が見てもトレンドだと分かる形の場合は、すでにトレンドが終わりに近づいている可能性もあります。
トレンドが始まるかどうかは誰にも分からず、誰もがトレンドだと分かる時期にはもう終わってしまうかもしれない中で、トレンドに乗ることは簡単なのでしょうか。
・トレンドが今後も続くと判断できる
次に、トレンドが今後も続いていくと判断できるかです。トレンドだと判断してエントリーしても、そこでトレンドが終わってしまったら利益を出すどころか損失になってしまう場合もあります。
そして、トレンドはずっと上昇するわけでも、ずっと下落するわけでもありません。一時的に押し目や戻りをつけながら、大局的に上昇や下落をしていきます。
利益を出すためには、今後どう動いていくか不明の中で、一時的な押し目や戻りの場面でも恐れることなく、トレンドは続いていくだろうと考えてトレードしなければならないのです。
・トレンドの強さを判断できる
そして、発生しているトレンドが強いか弱いかを判断する必要もあります。単純に「すでに大きく上昇している相場で買えばいい」「すでに大きく下落している相場で売ればいい」と思うかもしれませんが、相場は単純ではありません。
すでに大きく上昇している相場は利益確定売りが大きくなって下落していくかもしれませんし、すでに大きく下落している相場は底値買いの動きが大きくなって上昇するかもしれません。
トレンドに乗るためには、トレンドがこれから大きくなっていくか、それともトレンドが終わるかを判断する必要があるのです。
3.将来の相場のことは誰にも分からない
トレンドフォローの難しさは「将来の相場は誰にも分からない」ことを表しています。トレンドの始まりなのか、一時的な押し目や戻りなのか、トレンドが終わるのかを100%正確に判断するのは神様しか不可能です。
トレンドを判断するためにはテクニカル分析が有効です。しかし、テクニカル分析をすれば100%の確率でトレンドを見分けられるというわけではなく、あくまでもトレンドが発生するか、トレンドが続いていくかの確率が高いか低いかしか分かりません。
重要なのは、トレンドフォローはみなさんが考えているほど簡単ではなく、トレンドフォローをすれば絶対に利益を取れるわけではないということです。
私的には、トレンドフォローや逆張りのような手法だけに注目するよりも、相場から退場しないように資金管理に目を向ける方が大切だと思います。
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