新興国通貨の特徴とは?政治・経済面から徹底解説【Invest Naviチャンネル】
新興国通貨とは、成長の初期段階にある国や地域の通貨のことを指します。FX市場ではトルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソなどの新興国通貨が多くトレードされています。この新興国通貨のことを別名エマージング通貨とも呼びます。
FXを始めたての方は、円、ユーロ、ポンドといった主要国通貨を思い浮かべるかと思います。どの通貨も安定していますが、どの通貨も金利が低く、新興国通貨と比べて動きは鈍い状態が多いです。一方で新興国通貨は高い金利と運用性に優れていて、大きな利益を得ることができる可能性があります。反面、政情不安やインフレが引き起こしやすいなどして、通貨安になってしまいがちです。
新興国通貨は危険なイメージがありますが、スワップポイントが高い新興国通貨を持ち、スワップポイントトレードをしているFXトレードをされている方も多いのが特徴です。では新興国通貨とはどのような通貨なのか、特徴と政治や経済がどのようになっているのか詳しく解説していきます。
1.トルコリラの特徴
トルコリラは、ドルやユーロといった通貨よりも動きが一定ではなく、価格が暴落した時に暴落が一時的ではなくなってしまう危険性があります。
スワップポイントはFX会社にもよりますが、高く設定されています。また大統領のエルドアン大統領が強い権力を保持していて、大統領の発言により市場が上下することが多いので、注意してトレードしてください。
2.トルコの政治と経済
トルコ経済の経常収支は慢性的な赤字になっていて、毎年多くの赤字を出しています。経常収支の赤字は毎年400億ドルほどとなっていて、経済破綻してしまう可能性を含んでいるといわれています。経常収支が赤字になっているため、赤字を修復するためにトルコはトルコリラを発行して赤字の補填に当てています。しかし毎年赤字が出続けているため、毎年のようにトルコリラを発行してしまった結果インフレが起こってしまっています。
またトルコの政治は、トルコとアメリカがNATO加盟国として同盟関係が続いていますが、2016年に発生したクーデターによりアメリカとトルコの関係が悪化してしまいました。このクーデターで、アブドゥルハミト・ギュル法務大臣とスレイマン・ソイル内務大臣の米国資産が凍結されてしまい、トルコはアルミ製品と鉄鋼の関税を2倍に引き上げて緊張状態が続いています。今後アメリカとトルコのこの関係性がどのようになるのかによりトルコ経済が変化するので、注視するべき関係性です。
またトルコは中東問題でも問題を抱えています。トルコの首都イスタンブールで起きたジャマル・カショギ氏殺害事件により、サウジアラビアとの緊張状態が続いていています。サウジアラビアに加えて、エジプトやUAEとも対立してしまっていて、多くの外交問題を抱えています。
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3.南アフリカランドの特徴
南アフリカは、金や銀、プラチナといった鉱物資源が豊かで、世界有数の鉱山国として有名です。そのため南アフリカは、金や銀、プラチナといった市場価値がどの程度かにより、南アフリカランドに大きく影響を受ける通貨です。また南アフリカは、経常収支が赤字で海外から資金調達を受けているため、海外資金の影響を受けやすい財政状況になっています。リーマンショック以降南アフリカランド円で17円前後をつけていた値は、リーマンショック後10円を割り込み、金利も現在は7%とトルコやブラジルよりも低い値となっています。今後南アフリカランドは、金や銀といった鉱物資源の市場でも価格と金利の高さがどれほどなのかを注視しながらトレードする必要があります。
4.南アフリカの政治と経済
南アフリカランドのGDPは、コロナ禍において昨年過去100年間で最大の7%減になり、大幅な経済縮小になりました。2020年3月には南アフリカ全体で都市をロックダウンしましたが、7月上旬には新たに約1万人の感染者数が出てしまいました。コロナ発生後雇用者数も50万人以上減少し、大きな経済のダメージを負いました。南アフリカはコロナ前から経済が低成長になっていて、インフラ不足や高い失業率を毎年出していました。経済が弱ってきているところにコロナが発生してさらに経済は疲弊してしまい今現在はかなり弱っている状況です。
格付け会社は、南アフリカランドの投資適性を投資適性ギリギリだとみており、S&PがBB+、ムーディーズがBaa3という評価をしています。今後投資適正が下がるようであれば、投資適正ではないとみなされて投資家が手を引く可能性もあります。今後適正がどのようになるかにより経済がどのように進むのかを注意しながらトレードしてください。
5.メキシコペソの特徴
メキシコペソは新興国通貨の中では比較的安定した動きを見せる通貨です。新興国通貨は、金利が高いことがメリットで投資するのでリスクが高いですが、メキシコペソは低リスクとされています。メキシコはアメリカと国境を接していて、アメリカの影響を受けやすい環境下にあります。1994年に結んだNAFTAによりメキシコとアメリカの経済が強く結びつきが強くなり、アメリカ経済が落ちるとメキシコペソの価値が落ちてしまうことが多いです。 またメキシコは銀の産出量が世界一位、原油も世界で有数の産出量で、銀の価値や原油の価値が変化することによりメキシコペソが動きます。どの通貨ペアでも原油価格が大きく影響しますが、メキシコペソは石油産出国なので大きく影響を受ける通貨の1つです。メキシコペソをトレードする時はアメリカとの関係性や原油価格を確認しながらトレードする必要があります。
6.メキシコの政治と経済
メキシコ経済はGDPの輸出割合が4割強に達している輸出国です。そのうちアメリカへの輸出は8割に達しています。アメリカ経済は、コロナ禍により疲弊してしまいロックダウンなどでアメリカ経済の影響を受けてしまいました。またトランプ政権でメキシコとアメリカの関係性が悪化していたこともあり、経済が悪くなってしまいました。アメリカ経済は現在回復してきていて、それに伴いメキシコ経済も上昇し始めました。
メキシコ政治は、2018年ロペス・オブラドール大統領が就任しました。ロペス・オブラドール大統領はメキシコ市長を経験していて国民に馴染みのある政治家で、とても人気がある人物です。メキシコ大統領の制度は任期6年再選不可という法律があります。ロペス・オブラドール大統領は、最低賃金の引き上げを公約の一つに掲げました。しかし最低賃金の引き上げにより雇用数が過去10年間で最も低い数字になってしまい、コロナが流行したこともありさらに経済が弱くなってしまいました。
メキシコ経済は、トランプ大統領の政策で関係悪化、アメリカ経済がコロナ禍で悪化、メキシコ国内でコロナが蔓延してさらに経済が弱くなりました。今後メキシコ経済がどのように回復していくのかが最大の焦点の一つです。
7.まとめ
新興国通貨は、リスクが高い分ハイリターンの利益を得ることができる通貨としてトレードされている方も多く、FXをされている方はトレードされた経験やしてみようという方は多いと思います。みなさんも実際に新興国通貨をトレードしてみてはいかがでしょうか。
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