安定した値動きが続くユーロ/英ポンドで考える『ループイフダンの始め時』
ループイフダンを始めるとき、多くの人が気にするのは「いつ始めるか」というタイミングです。
けれど実際は、『いつ』よりも『どこで』つまり、相場のどの位置から始めるかが重要です。
一定の価格帯でレートが上下する『レンジ相場』では、スタート地点が少し違うだけで、リスクと利益のバランスが大きく変わります。
この『どこで始めるか』という視点でいま注目の通貨ペアが、ユーロ/英ポンド(EUR/GBP)です。
<ポイント>
・長期にわたってレートの高低差が小さい
・現在のレートが『レンジの中央付近』にある
言い換えると現在のユーロ/英ポンドは「 派手に動かないのに、よく働く通貨ペア 」なんです。
値動きが落ち着いていながら、取引チャンスが多いバランスの良さが魅力です。
この記事では、ユーロ/英ポンドが選ばれる理由を、レート位置と値動きの特性から解説します。
■参考:レートの推移とは
ループイフダンは、高低差が小さく、総推移(値動きの合計距離)が大きい通貨ペアほど効率的に売買を繰り返します。
詳しくはこちらの動画をご覧ください。
1.10年近く変わらない安定レンジ
ユーロ/英ポンドは、2016年後半以降、両国の経済関係が密接で、価格が連動しやすいことから、明確なレンジ相場を維持しています。
レンジ相場は、上下に大きなトレンドが出にくく、「戻りやすい相場」として知られています。
週足チャートを見ると、ここ数年は特に安定した値動きが続いていることが確認できます。
※レンジ上限付近のレートを「ハイライン」、中央付近のレートを「ミドルライン」、下限付近のレートを「ローライン」と呼びます。
EUR/GBP Bidレートの週足チャート(2007年頃〜2026年10月)
週足チャートの赤枠に囲んだ部分を、日足チャートで詳しく見てみましょう。
EUR/GBP Bidレートの日足チャート(2022年頃〜2025年10月頃)
この3年間の値動きを見ると、直近のレートはちょうどレンジの中央付近に位置しています。
また、ローライン付近まで下落と反発を繰り返す動きが見られ、レンジの安定性がうかがえます。
2. レンジの範囲内で安全重視の運用を!
現在のユーロ/英ポンドのレートは、直近3年間で見るとレンジの中央付近に位置しています。
少なくとも現時点では、2016年以降に形成されてきたレンジの範囲を大きく外れて変動する可能性は低く、落ち着いた値動きが続いており、安定した相場状況です。
レンジ相場が今後も継続するとすれば、上昇・下落のいずれの方向にも対応しやすい位置だといえるでしょう。
ループイフダン運用では、相場の上下動に応じて自動で売買を繰り返すため、買い・売りいずれの方向でも設定しやすいレート水準です。
特に中長期を前提とするループイフダンの運用では、スワップポイントのプラス方向を意識した設定が有効と考えられます。
※本記事作成時点(2025年10月)では、Sタイプの設定でスワップポイントがプラスとなっています。
また、レンジの中央付近からの運用開始を想定するBSタイプも、はじめやすい状況です。
3. レンジ相場仲間の豪ドル/NZドルとの比較
ユーロ/英ポンドと同様に、レンジ相場を形成しやすい通貨として知られるのが豪ドル/NZドル(AUD/NZD)です。
豪ドル/NZドルも同一経済圏に属する通貨同士であり、2014年ごろから長期間にわたってローライン1.00からハイライン1.15の範囲でレートが推移してきたことが分かります。
ただし、直近では上昇がすすみ、レンジ上限であるハイライン1.15に近づいています。
AUD/NZD Bidレートの週足チャート(2007年頃〜2025年10月)
週足チャートの赤枠部分を見てみましょう。
AUD/NZD Bidレートの日足チャート(2022年頃〜2025年10月)
週足チャートで見ると長期の安定レンジが続いているようにも見えましたが、日足チャートで現在の豪ドル/NZドル(AUD/NZD)は、レンジ上限付近のハイライン1.15に近づいており、慎重な判断が求められる局面です。
「レンジを外れて上昇し続ける」のか、「戻り売りで下落方向へ向かう」のか、あるいは「現在レート付近でもみ合いが続く」のか、さまざまな可能性があるため、当面は様子見の姿勢を取るトレーダーも多いようです。
とりわけ、ハイラインに近づいて一度反発が起きている点は注目に値するでしょう。
このように、レンジ相場を形成しやすいといわれる通貨ペアでは、レンジのハイラインやローラインが意識されやすい傾向が見られます。
対してユーロ/英ポンド(EUR/GBP)は、レートが長期レンジの中央付近に位置しています。
また、同ペアは高低差が小さいにもかかわらず、総推移(値動きの合計距離)が比較的大きいという特徴を持っています。
ユーロ/英ポンドは「大きく動かないのに、しっかり働く通貨ペア」
派手さはないものの、現在のレート水準では、安定性と取引機会のバランスを兼ね備えた通貨ペアといえるでしょう。
4.ユーロ/英ポンドで運用したときの目安は?
では、注目が集まるユーロ/英ポンドでループイフダンを運用した場合にはどうなるのでしょうか。
デモ口座を利用して、ループイフダンの売買システムが「S20」, 「S40」, 「S80」であった場合の取引状況を調査してみました。
<調査内容>
集計期間内における「決済回数」、「売買利益」、「スワップ益」、「決済利益」
※売買利益+スワップ益=決済利益
<集計期間>
過去1年間(2024年10月1日~2025年9月30日)と3年間(2022年10月1日~2025年9月30日)
調査結果は以下の表のようになりました。
参考となる必要資金や含み損を表の下に用意しています。
EUR/GBP 1年間取引状況(2024年10月〜2025年9月) 変動幅:541pips 推移:51,854pips
<560pipsの想定変動幅で運用する場合の必要資金>(※2025年10月22日時点)
S20:362,236円(最大ポジション数28)
S40:183,978円(最大ポジション数14)
S80:94,837円(最大ポジション数7)
<560pips損失方向に変動した場合の含み損>
※英ポンド/円を200円として円換算
S20:-174,000円
S40:-96,000円
S80:-57,600円
EUR/GBP 3年間取引状況(2022年10月〜2025年9月)変動幅:761pips 推移:159,940pips
<800pipsの想定変動幅で運用する場合の必要資金>(※2025年10月22日時点)
S20:615,062円(最大ポジション数40)
S40:311,560円(最大ポジション数20)
S80:159,845円(最大ポジション数10)
<800pips損失方向に変動した場合の含み損>
※英ポンド/円を200円として円換算
S20:-344,400円
S40:-184,800円
S80:-105,600円
上記の取引調査も参考に、ユーロ/英ポンドのお取引を選択肢に入れてみるのはいかがでしょうか。
【注意事項】
・本記事に掲載する情報については、正確性・完全性の確保に努めておりますが、その内容を保証するものではありません。
・本記事は、資産運用やFX取引に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の取引手法やサービスの利用を推奨・勧誘するものではありません。
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