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名目金利と実質金利の違いとは?預金が増えても豊かにならない理由



※本音声は、記事をもとにAIを活用して制作しています。一部、発音やイントネーション、漢字の読み方が不自然または正確でない場合がありますので、あらかじめご了承ください。
預金金利が上がると、「これまでよりお金が増えるから得になった」と感じるかもしれません。
たしかに、預金金利が0.1%から1%に上がれば、受け取れる利息は増えます。ただ、同じ時期にモノやサービスの価格が2%上がっていたらどうでしょうか。
通帳の残高は増えていても、そのお金で買えるモノは以前より少なくなっている可能性があります。
ここで役立つのが「実質金利」という考え方です。金利の数字だけを見るのではなく、物価の変化まで含めて、お金の実質的な価値がどう変わったかを考えます。
この記事では、名目金利と実質金利の違いを、預金と物価の身近な例からわかりやすく整理します。

1.名目金利と実質金利の違い

まず押さえたいのは、普段ニュースや銀行の店頭で目にする金利の多くは「名目金利」だということ。
名目金利とは、物価の変化を考慮していない、表面上の金利です。
たとえば、100万円を年1%で1年間預けた場合、税金などを考えなければ1万円の利息がつき、元利合計は101万円になります。この「1%」が名目金利です。
これに対して実質金利は、名目金利から物価上昇の影響を取り除いて考えた金利です。
簡単には、次のように捉えられます。
実質金利 ≒ 名目金利-物価上昇率
預金金利が1%で、物価が2%上がるなら、1%-2%=-1%です。
預金額そのものは増えていても、物価上昇まで考えると、お金の購買力(※)はおおむね1%低下していることになります。
※購買力とは、そのお金でどれだけのモノやサービスを買えるかという力です。
金利を見るときは、「何%増えたか」だけではなく、「物価よりどれだけ増えたか」まで考えると、お金の実質的な価値をつかみやすくなります。

2.預金金利より物価上昇率が高いと起きること
実質金利を理解するには、買い物に置き換えるとわかりやすくなります。
仮に、現在100万円で買えるモノやサービスの組み合わせがあるとします。
100万円を年1%の預金に預ければ、1年後には、税金を考えない単純計算で101万円になります。
ところが、その1年間で物価が2%上がったとします。
前年に100万円で買えたものを同じように買おうとすると、平均的には102万円程度必要になります。
預金は101万円に増えましたが、同じものを買うには102万円必要です。
預金残高は1万円増えているのに、買える量という意味では前年より減っています。

これが、「預金が増えているのに実質的には豊かになっていない」という状態です。
ただ、実際の生活では、すべての商品やサービスが同じ割合で値上がりするわけではありません。物価の動きを見る代表的な指標に、総務省が公表している「消費者物価指数(CPI)」があります。
家計が購入するさまざまなモノやサービスの価格をまとめ、その変化を指数で示したものです。
食品の値上がりが大きい人もいれば、家賃や光熱費の影響を強く受ける人もいるため、自分自身が感じる物価上昇と消費者物価指数が完全に一致するわけではありません。
もう一つ注意したいのが、預金利息には税金がかかることです。
仮に預金金利が1%でも、実際に受け取れる利息は税引き後では1%を下回ります。そのため、家計の購買力をより正確に考えるなら、表示されている預金金利ではなく、税引き後の利回りと物価上昇率を比べる必要があります。
つまり、「預金金利が上がった=その分だけ豊かになった」ではありません。
金利が上がっていても、それ以上のペースで物価が上がれば、お金の実質的な価値は目減りする可能性があります。

3.「実質金利がマイナス」とはどのような状態?
金融ニュースでは、「実質金利がマイナスになっている」といった表現を目にすることがあります。
最も簡単に考えると、名目金利よりも物価上昇率のほうが高い状態です。
たとえば、名目金利:1%、物価上昇率:2%であれば、簡易計算による実質金利は約-1%です。反対に、名目金利:3%。物価上昇率:2%なら、実質金利は約+1%になります。
ここで知っておきたいのが、金融市場で使われる実質金利では、実際に起きた物価上昇率ではなく、将来の「予想物価上昇率」や「期待インフレ率」を使って考えることが多い点です。

考え方は、名目金利 ≒ 実質金利+予想物価上昇率という関係です。
これを「フィッシャー方程式」と呼びます。
将来のお金の貸し借りや投資を考える場合、大切なのは過去に物価が何%上がったかだけではありません。これから物価がどの程度上がると予想されているかによって、お金を持つことの実質的な価値が変わるためです。
これに対して、「1年前に100万円を預金した結果、購買力が実際にどう変わったのか」を振り返りたい場合は、実際に起きた物価上昇率を使ったほうが理解しやすくなります。
整理すると、将来の金融環境を見る場合は予想物価上昇率、過去の購買力を振り返る場合は実際の物価上昇率という違いがあります。
また、実質金利がマイナスだからといって、それだけで「生活が苦しくなる」「景気が良くなる」と決まるわけではありません。
家計への影響は、賃金がどの程度増えているか、住宅ローンなどの借入金利がどう動いているか、どのような資産を保有しているかによっても変わります。
それでも、現金や預金の価値を考えるうえで、金利だけでなく物価も見る必要があることを教えてくれるのが実質金利です。

4.実質金利と円相場の関係

実質金利は、為替市場を見るときにも使われます。
一般に、より高い収益が期待できる通貨や金融資産には資金が向かいやすいため、各国の金利差は為替相場を動かす材料の一つになります。
ドル円相場でも、日本と米国の金利差が円安・ドル高の背景として取り上げられることがあります。
ただし、物価上昇率が国によって大きく違うと、名目金利だけを比べても実際の金利環境をつかみにくくなります。
そこで注目されるのが実質金利差です。
たとえば、A国とB国が次のような状況だったとします。
A国
名目金利4%、予想物価上昇率5%
B国
名目金利2%、予想物価上昇率1%
名目金利だけを見ると、A国の4%のほうが高いため、A国の通貨が魅力的に見えます。
ところが、簡易的に実質金利を計算すると、
A国・・・4%-5%=-1%
B国・・・2%-1%=+1%
物価上昇まで含めて考えれば、B国のほうが実質金利は高くなります。
このように為替市場では、政策金利や国債利回りなどの名目金利差だけでなく、予想物価上昇率を考慮した実質金利差が意識されることがあります。
ただし、ここは誤解しないようにしたいところです。
実質金利が上がれば、必ずその国の通貨が上昇するわけではありません。
為替相場は、景気の見通し、中央銀行の金融政策、貿易や国際的な資金移動、地政学リスク、市場参加者のポジションなど、さまざまな要因で動きます。
また、現在の金利そのものよりも、「この先、中央銀行がどこまで利上げするのか」「いつ利下げに転じるのか」といった市場の予想が先に為替レートへ織り込まれることもあります。
実質金利は円相場を考える有力な材料の一つですが、実質金利だけで円高・円安を予想することはできないと覚えておくとよいでしょう。

5.実質金利の簡易計算と厳密な計算の違い

ここまで、「実質金利 ≒ 名目金利-物価上昇率」という計算を使ってきました。
金融ニュースを理解したり、預金金利と物価の関係を大まかに把握したりするのであれば、この計算方法で十分わかりやすく説明できます。
でも、実際の購買力の変化を厳密に計算すると、単純な引き算とは少し違います。計算式は次のようになります。
実質的な収益率=(1+名目収益率)÷(1+物価上昇率)-1
預金金利が1%、物価上昇率が2%の場合は、「1.01÷1.02-1=約-0.0098」となります。
つまり、実質的な収益率は約-0.98%です。
単純な引き算では、「1%-2%=-1%」なので、今回の例ではほとんど差がありません。
そのため、日常的には「預金金利が1%で物価が2%上がれば、実質的には約1%目減りする」と考えて問題ありません。
ただし、金利や物価上昇率の数字が大きくなるほど、簡易計算と厳密な計算との差も大きくなります。具体的な運用成果や購買力の変化を正確に求めるには、割り算を使った厳密な計算が適しています。
また、金融市場で「日本の実質金利は○%」といった数字を見るときにも注意が必要です。
どの年限の国債利回りを名目金利として使うのか、どの予想物価上昇率を使うのかによって、計算結果は変わります。
そのため、実質金利の数字を見るときは、何の金利と何の物価上昇率を使って計算しているのかまで確認することが大切です。

まとめ
名目金利とは、預金金利や貸出金利などで目にする表面上の金利です。
これに対して実質金利は、物価上昇の影響まで考えた金利です。
たとえば、預金金利が1%でも、物価が2%上がれば、預金残高そのものは増えていても購買力は低下します。
簡易計算では、「1%-2%=-1%」となり、実質的には約1%のマイナスです。厳密に計算すると約-0.98%になります。
つまり、「お金が増えたか」と「そのお金で買える量が増えたか」は別の話です。
預金金利が上がったというニュースを見るときも、金利だけを見るのではなく、物価がどの程度上昇しているのかまで確認すると、家計にとっての意味がわかりやすくなります。
実質金利は金融政策や為替相場を見る際にも使われますが、実質金利だけで景気や円相場が決まるわけではありません。
名目上の数字だけではなく、そのお金で実際に何が買えるのかまで考える。
これが、実質金利を理解するうえでの大切なポイントです。

よくある質問
Q1. 預金金利が物価上昇率より低いと、預金する意味はないのですか?
A. いいえ。預金の購買力が低下する可能性があることと、預金に意味がないことは別です。
預金には、日常生活で使うお金や近い将来必要になるお金を保管しやすいという役割があります。実質金利は、預金が必要かどうかを決めるものではなく、お金の実質的な価値を考えるための判断材料の一つと捉えるとよいでしょう。
Q2. 実質金利がマイナスなら、必ず物価は上がり続けますか?
A. 必ずではありません。
実質金利が低い状態は、一般的には借入や消費、投資を後押しする方向に働きやすいと考えられますが、物価はそれだけで決まりません。
賃金、国内の需要、原材料価格、為替相場など、さまざまな要因の影響を受けます。
Q3. ニュースで見る実質金利と、預金の実質的な利回りは同じですか?
A. 基本的な考え方は同じですが、使う数字が異なる場合があります。
金融市場では、国債利回りなどの名目金利から予想物価上昇率を差し引いて実質金利を考えることがあります。
これに対して、過去1年間の預金の購買力が実際にどう変わったのかを見る場合には、預金金利と実際の物価上昇率を比べると理解しやすくなります。
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