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暴落時にパニックになるのはなぜ? あなたの性格ではなく「脳のバグ」を疑え【Mr.X】

相場が急落したとき、あなたは冷静でいられるでしょうか。
投資の世界では、暴落局面に直面しても、恐怖から底値で売却してしまう(狼狽売り)人がいる一方で、淡々と状況を見守れる人もいます。この違いはどこから生まれるのでしょうか。経済知識の量?それとも才能?いいえ、違います。
実は、その差を生み出している最大の要因は「人間の脳の仕組み」にあります。
近年、投資に関する失敗の多くは「知識不足」ではなく、「感情に引きずられた判断(認知バイアス)」によるものだと指摘されています。特に暴落局面では、私たちの脳は「警報」を鳴らし続け、普段なら絶対にしないような非合理な行動を取らせようとします。
これは投資歴1年の初心者だろうが、10年のベテランだろうが、誰にでも起こり得る現象です。
今回は、あなたの資産を守るために、投資判断を狂わせる5つの「脳のバグ(心理的罠)」の正体と、その対処法について整理していきましょう。

1. 脳は変化を極端に嫌う(現状維持バイアス)
まず知っておくべきは、私たちの脳は数万年前の狩猟採集時代から、基本設計が変わっていないということです。当時の最優先事項は「生き延びること」。そのため、脳は「変化=危険」とみなし、今の状態を維持しようとする強力な本能を持っています。
これを「現状維持バイアス」と呼びます。
投資で含み損が出始めたとき、本来なら「これ以上傷口が広がる前に切ろう(損切り)」と判断すべき場面でも、脳はこう囁きます。
「まだ大丈夫だ」「そのうち戻るはずだ」
これは冷静な分析ではなく、脳が「損失を確定させる」という変化(痛み)を嫌がっているだけに過ぎません。結果として、判断を先送りにしてズルズルと保有し続け、いわゆる「塩漬け」状態が完成します。
そして、いざ本格的な暴落が来て、恐怖が脳の許容量を超えた瞬間、パニックになって「もう楽になりたい!」と底値で投げ売りをしてしまうのです。
さらに厄介なのが「認知的不協和」です。
「これは一時的な調整だ」 「市場が間違っている」そうやって現実から目を背けている間に、資産はみるみる溶けていってしまうのです。
2. 「もったいない」が命取り(サンクコスト効果)
もう一つ、投資家を地獄に落とすバグがあります。「サンクコスト(埋没費用)効果」です。
例えば、あなたは映画館で1,800円を払って映画を見始めました。しかし開始10分で「これはつまらない、駄作だ」と確信しました。
あなたならどうしますか?合理的に考えれば、すぐに映画館を出て、残りの時間を有意義に使うべきです。チケット代(1,800円)はもう戻ってこないのですから。
しかし、多くの人は「せっかくお金を払ったんだからもったいない。最後まで見よう」これがサンクコスト効果です。
「過去に支払ったコスト(お金や時間)」に縛られて、未来の合理的な判断ができなくなる状態です。

投資でも同じことが起きます。
「ここまで長く持っていたんだから」 「スワップポイントを積み上げてきたんだから」と過去のコスト(損失や時間)を取り返そうと執着するあまり、「今すぐ撤退すべき」という判断ができず、さらに傷口を広げてしまう。
皮肉なことに、「損をしたくない」という感情が、最大の損失を招く原因になっているのです。
3. 脳のクセと向き合うための「リフレーミング」
では、どうすればこの強烈な本能に抗えるのでしょうか? 意志の力だけで脳のバグを克服するのは、プロでも至難の業です。
重要なのは、捉え方を変える工夫です。
戦略1:リフレーミング(捉え方を変える)
損失を「失敗」や「恥」と捉えると、脳はその痛みから逃げようとします。 そこで、損切りを「経費」や「保険料」と捉え直してみてはどうでしょうか。
「将来の大事故を防ぐために、少額の保険料(損切り)を払った」
「相場という授業を受けるための授業料(経費)を払った」
このようにリフレーミング(捉え直し)することで、心理的な負担を和らげ、冷静な判断を下しやすくなります。

戦略2:プレ・コミットメント(意思に頼らず「自分を縛る」)
もっと確実な方法は、「プレ・コミットメント(事前拘束)」です。 これは、感情が動いていない冷静な時に、あらかじめルールを決めて自分を縛ってしまう方法です。
「5%下がったら絶対に売る」
「利益が〇〇円になったら半分決済する」
しかし、人間は、自分で決めたルールすら、いざその場面になると破ってしまう生き物です。「今回だけは特別」と例外を作ってしまうのです。
そこで対策となるのが、「自動売買システム」の活用です。
例えば弊社の「ループイフダン(専用LPのURLを設定)」は、あなたの代わりにプレ・コミットメントを徹底してくれます。事前に設定さえしておけば、相場が急変しようが、あなたが寝ていようが、システムは感情を挟まずに「損切り」や「利益確定」を行います。

「もったいない」とか「まだ戻るかも」といった脳のノイズを強制的にシャットアウトする。これこそが、感情的な生き物である人間が、非情な相場の世界で生き残るための、合理的な手段と言えるかもしれません。
4. 【まとめ】投資は「感情の克服」から「仕組み化」へ

投資の結果に大きな影響を与えるのは、知識の量だけでなく、感情とどう向き合うかという点です。
短期的な値動きに一喜一憂してしまうのは、人間として自然な反応です。しかし、その感情に任せて売買を繰り返すことが、結果的に資産形成の妨げになるケースも少なくありません。
- 自分の思考のクセを知る
- 判断ルールをあらかじめ決める
- 感情が入りにくい仕組みを必要に応じて活用する
ここで紹介した考え方や仕組みは、すべての投資スタイルに当てはまる万能な方法ではありません。
短期売買で相場を細かく見ながら自分の判断を重ねたい人や、裁量での売買を楽しみたい人にとっては、ルールや仕組みが窮屈に感じられる場合もあります。
また、感情を排除する仕組みを使ったとしても、相場環境によって損失が発生する可能性は避けられません。
重要なのは「負けない方法」を探すことではありません。 自分という「感情的な生き物」をどうコントロールするか。そのためのパートナー(仕組み)を持つことこそが、賢い投資家の第一歩なのです。
投資メンタルQ&A
メンタルトレーニングをすれば、暴落でも動じなくなりますか?
訓練である程度は強くなりますが、本能を完全に消すことは不可能です。
プロといわれるトレーダーでも、巨額の損失を目の前にすれば心拍数は上がります。重要なのは「動じない心」を作ることではなく、「動揺しても致命傷にならない仕組み(資金管理や自動売買)」を作っておくことです。
メンタルに頼らない投資こそが、最強のメンタル管理と言えるでしょう。
塩漬けポジションをどう処理すればいいか分かりません。
「今、ノーポジションだったらそれを買うか?」と自問してみてください。
もし「今の価格なら買わない」と思うなら、それは「持ち続ける価値がない」ということです。サンクコスト(過去の買値)は忘れて、売却して現金化し、より有望な投資先に資金を移すのが合理的とも考えられます。
これを「ポジションの入れ替え」と考えると、損切りの心理的ハードルが下がります。
自動売買なら、本当に感情を排除できますか?
システム自体には感情がありませんが、それを止めるのは「あなた」です。
ループイフダンは淡々と取引しますが、含み損が増えた時に怖くなって、人間が手動でシステムを止めてしまう(一番悪いタイミングで損切りするor停止してしまう)ケースがあります。これを防ぐには、運用開始時に「最悪ここまで下がっても大丈夫」という余裕を持った資金設定やレート変動幅を想定することが何より重要です。
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