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2025/09/18
鹿子木健

「最悪の事態」を考えるのは何もネガティブではありません【鹿子木健】

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投資で失敗してしまう人には、根拠のない楽天思考がありがちです。数々の失敗談をネットや書籍で目にしておきながら「自分にそんなことは起こらないだろう」と思って、起こりうるリスクを考えずに資金を投入してしまうのです。

リスクを回避しようとせず投資で成功する人はまずいないと言っても過言ではないでしょう。星の数ほどある反面教師を参考にせず「自分は大丈夫だから」と考えてしまうその根拠はどこにあるのかと問われたら、おそらく答えられないと思います。

失敗した時のことばかり考えるなんてネガティブ思考だ。もっと物事はポジティブに考えるべきだ!という声もありそうですが、ポジティブ思考で精神を健全に保つことと、最悪の事態を避ける想定をしないことは全くの別物です。 

1.相場は思い通りにならないのが当たり前だと考えましょう

「相場の動きは誰にも分かりません」でも述べた通りですが、相場は基本的に「誰かの思った通りに動かせる」ものではありません。

大口投資家が大きなポジションを取ってわずかな値動きを発生させたり、金融機関が為替介入を行ったりして一時的に相場の流れを変えたりすることはできますが、誰かの望むタイミングで誰かの望む方向に動いてくれることはまずありません。

「相場予想が当たった」という実感から、相場を掴んだつもりになってしまうのは危険な心理状態です。「今までの予想が当たったのだから次もこうなるはず」という思い込みから、予想とは違う方向に動いても間違いを認められなくなります。

投資で成功するためには、投資を長期間継続する必要があります。そのためには、最悪の事態をシミュレーションし、そうした状況を避けなければなりません。

「最悪の事態をシミュレーションする」とは、想定外の事態を1つ1つ潰していくことです。想定外を残し「こんなことは起こらないだろう」と考えてしまうひとは、やがて想定外に泣かされることになってしまいます。

投資での想定外は命取りです。たった1万円の損失から泥沼にはまってしまった例を、一つご紹介しましょう。


 

2.きっかけはたったの1万円

Aさんは、10万円を元手にしてFXを始めました。始めて間もなく、1万円ほどの利益を得ることができました。ビギナーズラックもあったのでしょうが「FXって勝てるな」と彼は考え始めました。

この調子で勝ちを重ねようと思った彼は「上がる」という直感にしたがって買いポジションを持ち、数千円の利益では満足できなくなって、相場が逆行しても「すぐに上昇するだろう」と損切りをしませんでした。結果、1万円の利益は損失として消えてしまいました。

その損失を取り返そうとして、今度は下がり続ける相場に買い増しで対抗しようとしました。いわゆるナンピン買いで損失分を取り返そうとしたわけですね。しかし「きっと上がる」という希望が叶うことはなく、含み損は2万円になりました。

「相場が上昇すればこの含み損は全部利益になるんだ」「いま損切りしたらそこできっと上昇してしまう」と不安を打ち消すように買い増しを続けて自分の行動を正当化した結果、預け入れた証拠金は半分の5万円になっていました。

証拠金が減ればレバレッジが上がり、証拠金維持率が下がりすぎれば強制ロスカット。そこでAさんは40万円の追加入金でその場を凌ごうとしました。失敗を覆い隠そうとしてしまいったのです。

「損失を取り戻したい」で頭がいっぱいの彼は同じような買い増しにこだわり、含み損が25万円を超えました。

失敗を受け入れることができず、Aさんはこの後も泥沼にハマッてしまいます。やがて彼はマンション購入の頭金や子どもの教育資金にまで手をつけてしまい、「いずれこれ以上の利益になるから」と自分に言い訳を重ねながら、根拠のない楽観を手放せませんでした。

その後Aさんがどうなったかは、ご想像にお任せします。少なくとも、彼の望むようにはならなかったであろうことは、容易に推測できるかと思います。「最悪の事態」を想定せず、自分の失敗を認めないことは、破滅への片道切符とも言えるのです。


 

3.損失を受け入れる勇気が投資を救う

投資において「損を確定させる」ことは、誰にとっても気が重い決断です。できることなら避けたいと考えるのが自然です。しかし、「最悪の事態」から目を背け、損失を引き延ばすことは、むしろさらなる最悪につながる最大の要因になります。

Aさんが陥った「いま切ったら上がるに違いない」「もう少し待てば戻るはずだ」と自分の判断を正当化するのは典型的な失敗パターンです。損切りを先送りにするほど、投資判断は冷静さを失い、次第に手をつけてはいけないお金にまで手をつけることにもなるのです。

大切なのは「損失=失敗」ではないという理解です。むしろ、小さな損失で済むのならそれは成功です。目の前の小さな損失を受け入れる勇気こそが、大きな損失を防ぎ、投資を続ける力を与えてくれます。

相場は常に不確実であり、自分の思惑通りに進むことはほとんどありません。だからこそ「想定外を潰す」「間違えたらすぐ撤退」という姿勢が、長期的な成功に不可欠なのです。


 

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著者プロフィール
鹿子木健
鹿子木健
お金を扱う能力を高めるための普遍的な知恵を伝えることがライフワークとして、 2004年から個人投資家として活動。投資分野は、FXを中心に、不動産、株式、商品CFD、株価指数CFD、保険、暗号資産など多岐に渡る。 代表を務める株式会社メデュは、2020年5月に金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録が完了。現在、外国為替投資助言「FX UNLIMITED」、FX学習コミュニティ「勝ちパターンFXの学校」を提供中。