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FXトレーダーが知っておくべき2つのリスクをお話しします【鹿子木健】

「お金の安全」と聞いて、何をイメージするでしょうか。「銀行への預金」をイメージされる方が多いかもしれません。「大事なお金は銀行に預ければ安心」という考えは日本を含む多くの国で長らく常識とされてきたものです。
しかし銀行の安全神話は以前ほど通じなくなりました。2024年にマイナス金利が解除されましたが、依然として日本の金利は低く、資産がなかなか増えません。また、インフレが進めばお金の価値は目減りします。今や銀行に預けるだけではお金を守りきれないのです。
預金に代わる選択肢として、投資や運用に目を向ける人も増えてきており、FXも株式や不動産への投資と並ぶ選択肢の一つです。
FXは高いリターンを狙える一方、当然ながらリスクも伴います。今回は、そのFXのリスクについて考えてみましょう。
1.マーケットは「不確実性」に満ちています
FXは、為替の値動きを利用して利益を狙う金融取引です。為替相場は常に変化し続けており、誰にも未来を正確に読み切ることはできません。これが「不確実性のリスク」と呼ばれるものです。
為替レートはさまざまな要因によって動きます。軽く挙げてみるだけでも、経済指標の発表、要人発言、突発的な戦争・災害と多岐にわたります。
たとえば、2025年現在でも、沈静化しないウクライナ情勢や中東の緊張、米国の関税政策など、地政学リスクが為替相場に影響を及ぼしています。
経済指標はスケジュールされており、ある程度の予測は立てられるかもしれませんが、実際の値動きはそれらの予測を裏切ることも少なくありません。
たとえば、ある国の経済指標が市場予想を上回ったとしても、その後に買いが入ることが織り込み済みと判断されて、むしろその通貨が売られることもあります。市場は論理だけで動くわけではないのです。
このような不確実性は、避けようがありません。だからこそ大切なのは、予測が外れた際の備えを作っておくことです。損切りラインを設定する、重要指標の前後にはポジションを持たない、ロットを抑えるなどの対策が、リスクを最小限にとどめる鍵となります。
2.「知らない」ことが最大の損失要因です
FXにおいてもう一つ重要なのが、「無知のリスク」です。これは、FXの仕組みや基本ルールを理解せずに取引を始めることによって、思わぬ損失を被ってしまうリスクを指します。
たとえば、「レバレッジ」は少ない資金で大きな金額を動かせる便利な仕組みですが、そのぶん損失も拡大する可能性があります。にもかかわらず、「少額で大きく稼げる」とだけ理解している初心者は、あっという間に資金を失うことになります。
「証拠金維持率」「強制ロスカット」「スプレッド」「スリッページ」といった用語の意味や、それがどう損益に関わってくるのかを知らないままでは、本来ならダメージを和らげられる相場の荒波をまともに受けてしまいます。
さらに、近年ではもう一つ大きな落とし穴があります。それが「情報リテラシーの欠如」です。SNSやYouTubeなどでは、分かりやすく有益な情報発信もされる一方、「1日で○万円勝ちました」「この手法なら勝率95%」といったインパクト第一の発信もされます。
そうした情報の中には、自分のビジネスに人を引き込む「演出」を施されたものもあり、裏側にある損失や検証の過程は意図的に隠されています。それを知らない人が演出を鵜呑みにして、損失を重ねてしまうのです。
誰もが最初は初心者であり、初心者は無知なものです。しかし、自ら学ぼうとしない姿勢や、知識が不十分なままリアルマネーで勝負に出る姿勢は、明確なリスクに直結します。
知識は盾です。基礎用語、取引ルール、正しい情報源を一つひとつ身につけることが、損失を防ぎ、トレーダーを成長させてくれます。
3.リスクは「あるもの」と割り切り、上手に付き合いましょう
「不確実性」と「無知」。FXのリスクとして2つ挙げましたが、どちらも完全に消すことはできません。だからこそ大切なのは、リスクはあるものと考え、それを計算に入れて立ち回ることです。以下のような心がけが推奨されます。
・情報を選ぶ力を持つこと
・取引は小さく始めること
・取引のルールを定めること
・振り返り、トレードを記録する習慣を持つこと
FXは、「知っているかどうか」「準備しているかどうか」で結果が大きく変わる世界です。大きく勝つことよりも、大きく負けない工夫をすること。それが、リスクと向き合うための第一歩です。
【注意事項】
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