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チャートの値動きは全てを織り込みます【鹿子木健】

米国のチャールズ・ダウが考案した投資理論であるダウ理論に、「価格はすべての事象を織り込む」とあります。
これは相場参加者の心理や思惑はもちろん、金融政策、経済状況、地政学リスク、災害などあらゆることが反映されることで、現在の価格があるということです。
今回は、値動きが全ての事象を織り込んでいることの意味について解説していきます。
1.チャート分析は非常に奥深い
FXトレーダーであれば、チャート分析をしない人は滅多にいません。移動平均線やボリンジャーバンドといったテクニカル指標、水平線やトレンドラインなどのライン、チャートパターンを利用して売買ポイントを判断すると思います。
チャート分析はトレードで利益を出していくためには必須の技術です。よくファンダメンタルズ分析と比較されますが、ファンダメンタルズ分析だけで勝っている人はごく少数です。
勝っているトレーダーのほとんどはチャート分析をしています。
一方で、「初心者はファンダメンタルズ分析よりもチャート分析をしよう」といった意見が多く、チャート分析は簡単であるイメージをもたれがちです。
しかし、本来のチャート分析は浅いスキルではありません。チャート分析の基になる値動きは相場の全てを表しており、非常に奥深いものです。
トレードで勝つためには、チャートが何を表しているのかを知っておく必要があります。
2.値動きはあらゆる事象を織り込んでいる
チャートの値動きはさまざまなものを織り込んでいます。相場参加者の心理や行動はもちろん、金融政策や各経済指標、要人発言などファンダメンタルズ要素も反映されています。
例えば、「米国の景気が良い」と考えられているから、米ドル/円は上昇しやすくなるわけではありません。
「米国の景気は良い」が相場の共通認識であれば、すでに現在の価格に反映されているはずです。要するに、「市場参加者の多くが米国の景気が良いと考えているから、現在の米ドル/円は今の価格だ」ということです。
反対に、米国の景気が良いとニュースなどで報道されても、米国の景気はそこまで良くないというのが相場の共通認識であれば、米ドル/円の現在のレートはもっと低いはずです。
そして、相場は期待感で動きます。これはFX以外でも株式や仮想通貨、不動産などほとんどの投資にいえます。
相場参加者の多くが米国の景気が良いと考えているから米ドル/円が上昇しやすいのではなく、米国の景気はこれからも良い状態が続いていくだろうと考えているから米ドル/円は上昇しやすくなるのです。
相場は現在の状態ではなく、将来はもっと良い状態になると思われる時に上昇し、将来はもっと悪い状態になると思われる時に下落します。
3.FXは絶対評価ではなく相対評価
FXのチャート分析で重要なのは、通貨ペアは相対評価ということです。
例えば、米ドル/円であれば、米ドルの価値が上がれば上昇します。また、円の価値が下落しても上昇します。
もし、米ドルと円の両方の価値が上がった場合、米ドルの価値が円よりも上であれば米ドル/円は上昇します。
そして、米ドルと円の両方の価値が下がっても、円が米ドルの価値よりも下であれば米ドル/円は上昇します。
FXにおけるチャート分析では、一つの通貨だけではなく、通貨ペアを構成する二つの通貨の値動きが反映されることを覚えておきましょう。
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