山中康司のループイフダン戦略レポート(2022年11月②)
ループイフダン「2022年11月の戦略・月中レビュー」
●お知らせ
- 現状は移動平均線のストラテジーのみのポートフォリオ運用に戻しました。リスク管理にも変更がありますので、概要は「2022年のポートフォリオ運用について」をご覧ください。
- 過去に実施したオンラインセミナーは下記URLにてご視聴いただけますので、併せて参考にしていただければ幸いです。
https://inet-sec.co.jp/seminar/onlineseminar/#yamanaka
●2022年のポートフォリオ運用について
「移動平均で攻めるループイフダン戦略」
使用チャートは日々の動きを明確にするため、複数時間枠表示という手法で日足チャートに週足移動平均線を重ねています。階段状になっているのはそのためで、1週間(5営業日)単位で移動平均線の値が変化していることがわかります。また、週足終値の位置を間違えないよう、日足を1週間ずつ青い四角で囲ってあります。つまり、青い四角の中の最後の日足終値が週足終値と同じです。また紫の四角で1か月を囲み、各月の値動きもわかりやすくしてあります。
長めのポジション保有を前提に「週足終値が20週移動平均線よりも上にあるか、下にあるかでトレンドを判断」します。ダマシを回避するため「実際の売買は、2週連続で終値が上か下というフィルター」をかけます。ポジションを閉じた後の再エントリーの場合もフィルターをかけます。
リスク管理としては、最大ポジション数が全ての通貨ペアで5、損切設定はあり、とします。ひとつの通貨ペアの資金管理として「1か月の最大想定損失額を証拠金の4%(当レポートでは20万円以上)に到達した通貨ペアに関しては、いったん全てのポジションを仕切った上で月末まで運用見送り」とします。
ポートフォリオ全体の資金管理として「証拠金の6%を超える損失(当レポートでは30万円超)で、利益が出ているポジションも含め全て成り行き決済とし、その場合は月末まで一切ポジションを持ちません。これは、複数通貨ペアで想定以上の損失が出ることが無いようにするためのセーフネットです。
*11月の損益について
10月は過去最大の介入を見たことから、最大許容損失額に達していないものの途中で運用を停止しましたが、11月は10日に発表された米国CPI後の急激な円高進行によりポートフォリオ全体の最大許容損失額である30万円に到達しそうであったため、CPI後のNY市場前場(日本時間23:30〜24:00)に全てのポジションを決済しました。
動きが速かったため、実際の確定損失額は全体で323,816円の損失となりました。11月は3分の2近くの期間を残しての退場となりましたが、仮にそのまま運用を続けていたとしたら損失は倍近くに拡大していましたので、リスク管理の方針に沿って復活可能な段階での運用ストップということで想定内の損失計上ということになります。
それにしても今年は何十年ぶり、過去最大といった通常の想定を超える出来事が続きます。先週の米国CPIもイベントではなく経済指標による動きとしては過去最大、9円を超える週間レンジはリーマンショック以来です。ポートフォリオの運用方針自体に問題は無いと考えていますが、あまりにも市場の動きが激しいため、取引金額を減らして対応するしかないと考えています。
そのため、12月からは1回あたりの取引金額、最大ポジション数等を見直した上で取引を再開しますが、現在の1回あたりの取引量を1万通貨単位から5千通貨単位に減らす方向で考えています。最終方針はまだ決めていませんが、12月レポートで報告させていただきます。
●米ドル円
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※赤い線が移動平均線です。
11月15日までのレンジ=137.65〜148.81
11月15日時点の戦略=10日CPI直後に運用停止
11月前半の米ドル円は、10月の151円台で今年の高値を見たのではないかと考える市場参加者が増えてきたことで月初からじりじりと円高の動きとなっていました。そこに出たのが予想よりも弱い米国CPIです。7.7%と絶対水準は依然として高いものの、予想よりも弱かったことから米金利先高観が弱まり、長期ポジション、短期ポジションともに円売りが膨らんでいたこともあって、急速なストップオーダーから6円を超える円高となりました。経済指標での値動きとしては過去最大、翌日も続落したことで9円を超える週間レンジはリーマンショック以来という激しさです。今年は何十年ぶり、過去最大といったことが多すぎて、その方向にはまれば最高なのですが、そうでないと思い切り振り回されることとなります。
米ドル円は「B100」で運用していましたが、CPIをきっかけに運用停止、全ポジションを損切りしました。11月の確定損益は112,170円の損失となりました。
なお、先週末時点で久しぶりに移動平均線を下回って引けましたが、今週末も移動平均線を下回るようであれば、2021年1月以来のS転換となります。このくらい激しい動きが起きているということですから、リスク管理で身を守っていくしかありません。
●ユーロ円
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11月15日までのレンジ=142.57〜147.10
11月15日時点の戦略=10日CPI直後に運用停止
11月前半のユーロ円は月初こそユーロドルの売りが先行したことからやや下げて始まりましたが、その後は芸金利の動きとともにドル全般の動きとなり米国CPI前には月初の水準へと戻していました。しかしドル円を中心に円売りポジションの巻き返しが急速に起きたことからユーロ円も大きく水準を下げ、10月上旬の水準へと押す動きとなりました。
ユーロ円はB100で運用していましたが、米国CPIをきっかけとした円高の動きで運用停止、全ポジションを損切りしました。11月の確定損益は17,468円の損失となりました。
●ポンド円
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11月15日までのレンジ=163.03〜169.08
11月15日時点の戦略=10日CPI直後に運用停止
11月前半のポンド円は、ユーロ円同様に月初のみポンドドルでのポンド安に引っ張られて下げが先行しましたが、その後はドルの動きとなり、最後は米国CPIにより円急騰、ポンド円も下げたという流れです。今年は明らかにドル円が主役なのですが、ポンドもポンド円もドル円の動きを見ると霞んでしまいます。
ポンド円はB150で運用していましたが、米国CPIをきっかけとした円高の動きで運用停止、全ポジションを損切りしました。11月の確定損益は59,223円の損失となりました。
●豪ドル円
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11月15日までのレンジ=92.61〜95.55
11月15日時点の戦略=10日CPI直後に運用停止
11月前半の豪ドル円は月初からしばらくは他のクロス円同様の動きを見せていましたが、米国CPI後の動きは異なっています。CPI直後こそドル円の影響で豪ドル円も下げましたが、米金利上昇ペースが鈍る思惑から豪ドルやNZドルでのドル売りがかなり強まり豪ドル円はCPI前の水準へと買い戻しが入っています。
豪ドル円はB100で運用していましたが、米国CPIをきっかけとした円高の動きで運用停止、全ポジションを損切りしました。11月の確定損益は30,608円の損失となりました。
●ユーロドル
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11月15日までのレンジ=0.9729〜1.0479
11月15日時点の戦略=10日CPI直後に運用停止
11月前半のユーロドルは月初こそ下げが先行していたものの、米国の利上げペースが鈍化するとの思惑によるドル売り、更に弱い米国CPI、そしてテクニカルに10月、9月高値を上抜けたことによるユーロ買いが加わったことでユーロ高が進行することとなりました。
ユーロドルはS100で運用していましたが、米国CPIをきっかけとしたドル安の動きで運用停止、全ポジションを損切りしました。11月の確定損益は104,347円の損失となりました。ドル円とユーロドルでの損失が多いことからドルの動きが変化してきていることがわかります。
なお、先週末時点で久しぶりに移動平均線を上回って引けましたが、今週末も移動平均線を上回るようであれば久しぶりのB転換となります。
●カナダ円(チャートのみ)
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11月15日時点の戦略=B80を継続も今週末にS転換の可能性
●スイス円(チャートのみ)
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11月15日時点の戦略=B80を継続
●ランド円(チャートのみ)
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11月15日時点の戦略=S50を継続
●トルコリラ円(チャートのみ)
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11月15日時点の戦略=B50を継続も今週末にS転換の可能性
●メキシコペソ円(チャートのみ)
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11月15日時点の戦略=B50を継続
(注)メキシコペソ円はデータ配信元の仕様でバーチャート表示となっていますが、移動平均線の計算には影響しません。
●NZドルドル(チャートのみ)
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11月15日時点の戦略=S80を継続も今週末にB転換の可能性
●豪ドルNZドル(チャートのみ)
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11月15日時点の戦略=S80を継続
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【本レポートに関するご注意】
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