米中対立、逆イールドで揺れる相場の今後の予想【Yuki】
こんにちは。為替研究所のYuki(@kawaselab)です。
最近のドル円相場は、
- 7月まではFOMCでの利下げに注目が集まっていた(結果は市場の予想通りの25bpsの利下げでしたが、「一連の利下げの開始を意味するものではない」というパウエル議長の発言もあって、「予想よりはタカ派より」と解釈されました)
- 8月に入ってトランプ大統領が「9月1日から中国製品に10%の追加関税を課す」と発言したことでドル円は109円台から105円台まで急落
- 今週には「あわや105円割れか」という水準まで下落するも、そこで反発すると、今度は「一部の商品について、追加関税を12/15まで延期する」と発言したことで107円近くまで反発
- しかしその後2年債と10年債の逆イールドの発生や、中国の報復措置の発表で再び下落
というように、米国の金利動向と、米中対立のヘッドラインに大きく振り回される相場となっております。
8月は、市場参加者の多くが夏休みに入り、流動性が低くなることから、ちょっとした材料で乱高下する「トレーダー泣かせ」な月であり、そのため「8月や、同じように流動性の低い12月にはトレードを休む」という人も割といたりするものですが、それにしても、かなり激しく動いているなあと思いながら相場を見ております。
ただ、今の主要なテーマは、やはり上でも書いたように金利動向と米中対立だと思うので、今回はそれらに焦点を当てて、今後を予想したいと思います。
結論から書くと、以下のように予想しております。
- 大きな流れとしては円高・ドル安・株安・新興国通貨はドル以上に下落と予想し、大幅な円高局面に備えたい
- ただし、逆イールドは「半年から2年後にリセッション」というものであり、逆にそれまでの期間は上昇に入ることも多いことや、さらに米中対立も一旦はどこかで落ち着くと思うので、短期的には押し目買い狙い
- トランプ大統領のスタンスは、NYダウを見ていると比較的読みやすい(最高値近辺で対外強硬策、急落したら緩和)が、来年の大統領選に向けて、今年の年末以降は若干読みづらくなりそう
以下、詳細に書いていきます。
アメリカの金利動向と逆イールドについて
上でも書いたように、パウエル議長としては今時点では「利下げは予防的なものであり、継続的なものではない」と述べておりますが、世界的な緩和傾向や、さらにはアメリカの景気後退見通しを考えると、ここで据え置きをし続けるのは現実的ではなく、今後はやはり利下げ方向でしばらく運営すると考えられます。
利下げというと、セオリー的にはドル円は円高・ドル安になりますが、ただし、その一方で、利下げには株価を下支える効果もあり、株価が下支えされるといわゆる「リスクオン」になりやすく、円は売られやすくなるので、株価の動向に注目が集まっているタイミングであれば、そこまでマイナスには影響しないと考えられます。
また、「逆イールド」については、「半年から2年以内に景気後退が来る」というのが金融相場での通説ですが、逆に言えばその景気後退局面が来るまでは株価が「ロウソクの最後の輝き」で上昇することも多く、株価にとっては、しばらくは下支え状態が多い展開が続くと考えられ、本格的な「リスクオフでの円高」になるのは、もう少し先かなと思っております。
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米中対立とトランプ大統領の動向
トランプ大統領は、これまでも「株価が最高値近辺で対外強硬策、急落すると一転融和的になる」と言われておりましたが、今回もそのセオリー通り、NYダウが最高値を更新したタイミングでの関税発言でした。
この時は、FRBの「比較的タカ派よりな姿勢」への非難も強めており、「そろそろ何か来るだろうなあ」と思っていたところ、案の定来た、という感じで、おかげでNYダウや南アフリカランドの売り等で、利益を出すことができました。
また、その後の動きについても、やはり株価が下がると関税の延期があったように、今のところ「株価でトランプ大統領の動きを読む」というのは、かなり有効に機能しております。
米中対立については、
【アメリカ】
・来年の大統領選に向けて、一定の「成果」が欲しい
・また、大統領選前の期間では株価がそこまで落ちていないで欲しい
・とはいえ、「弱腰」と見られるわけにもいけない
【中国】
・景気のピークアウトや、関税による悪影響により、実態経済面でも悪い数字が散見されるようになっているので、できれば関係改善をしたい
・その一方で、アメリカに大統領選という「アキレス腱」があることは分かっており、アメリカが折れるのも待ちたい
というように、いわば「チキンレース」の状態になっていると考えられます。
今回も株価が急落したタイミングで中国への関税を延期したことを考えると、また株価が回復するまでは「穏健な姿勢」を続けると考えられます。
以上のように、
- 金利は下がると考えられるが、それが株価を下支えする材料にもなる
- 逆イールドは、景気後退局面に入るまでタイムラグがあり、その間は株価は「最後の輝き」で上昇することも多い
- 米中対立については、一旦落ち着く展開になる可能性が高い
と考えており、本格的なリスクオフからの円高・ドル安シナリオは、今時点ではまだ描きづらいかなと思っております。
ただし、1年単位では、アメリカの景気後退局面入り、地政学リスクの高まりや、世界的な緩和傾向の中で、日本の金融緩和に限界が来ていることを考えると、「大幅な円高局面」が来てもおかしくはないと考えており、買いで入る場合には、短期スパンでのトレードにするか、大幅に下落してもロスカットされないくらいの範囲で行いたいと思っております。
今回は以上です。私のTwitterでも相場の自分なりの見方、私のトレードなどについて書いているので、よろしければそちらもご覧ください。
Twitter:Yuki(@kawaselab)
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