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2026/04/10
鹿子木健

「プロ」の意見を鵜呑みにしてはいけない理由をお教えします

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FXに限らず、投資の世界には必ず「プロ」「専門家」「アナリスト」といった人たちがいます。こうしたプロの人たちが書いた記事やレポートは証券会社の口座で配信されていたり、投資系メディアで配信されたりしているため、多くの個人投資家が日常的に目にしていることと思います。

FXや金融に精通している人が発信している情報だけに、参考にしている人は多いかもしれません。しかし、こうした情報を鵜呑みにしたり過信することは、失敗の原因になります

なぜこうした情報を鵜呑みにしてはいけないのでしょうか。今回は、「プロ」が配信している情報が持つ意味と、知っておきたいカラクリについて解説します。

1.「プロ」による分析、実は何も分析していない?

「プロ」による分析や相場観に関する情報はネット上にあふれていますが、これらの中には何も分析していない情報があることをご存じでしょうか。文面を見ると専門用語を交えながら本格的なレポートが書かれているように見えますが、情報発信者がその場の雰囲気で相場観を決めているものも少なくありません。

また、こうした「プロ」が分析・執筆している情報の中には、証券会社やFX会社が顧客向けに配信しているものもあります。会社としては顧客が活発にトレードをすることが売り上げになるため、顧客である個人投資家がトレードをしたくなるような話に寄っていきがちです。

要人発言や経済指標などに絡めた記事を「ファンダメンタルズ」の情報として配信しているケースも多く見られますが、これらがファンダメンタルズではないことは、以下の記事でも解説しています。」

ファンダメンタルズとは経済指標や要人発言?いえ、それは大きな間違いです

私は、ファンダメンタルズとは金利信用市場テーマの3つであると説いていますが、これらは短期間にコロコロ変わるものではないため、毎日のように記事を配信して「今日のファンダメンタルズは…」と取り扱うこと自体に違和感があります。

これらの情報を発信している「プロ」は、依頼を受けて記事を書いています。そのため、記事を毎日配信している書き手は、毎日何かを配信しなければなりません。それほど大きく変化していない状況をそのままレポートすると、代わり映えしない記事だと思われてしまうため、ある種の使命感もあって、その日の話題を書いていることもあるでしょう。

このカラクリを理解すると、記事を書いて配信することが目的化している「プロ」の意見を鵜呑みにしたり過信し、それを根拠にトレードをするのはリスクが高いことがお分かりいただけると思います。


 

2.ある日突然変わる、「プロ」の意見

相場観や見立てが突然大きく変わることがあるのも、「プロ」の意見を鵜呑みにしてはいけない理由のひとつです。再三述べているように、ファンダメンタルズが短期間にコロコロ変わることはありません。しかし、「プロ」の意見はマーケットの状況に応じて突然変化することがあります。

2015年9月から2016年1月にかけて豪ドルが下落し、豪ドル/米ドルが節目である0.7ドルを割り込んだ局面がありました。以下は当時の値動きが確認できる週足チャートです。

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この下落相場に多くの「プロ」はオーストラリアや同国経済と関連の深い中国経済に対して悲観論を並べ、「もっと下がるぞ」という論調で溢れかえりました。

つまり、オーストラリアと中国のファンダメンタルズが悪化しているというスタンスを取っていたわけです。しかし、その後豪ドルは上昇し、0.75ドルをうかがう展開となりました。

そうなると「プロ」の意見は「中国が景気テコ入れ」「オーストラリア経済が好調」といった論調に様変わりしました。たった数ヶ月で変わることのないファンダメンタルズに対する評価が一夜にして変わったのです。

実際のところはどうなのかというと、同じ時期におけるオーストラリアのファンダメンタルズに変化はなく、一貫して良好でした。


 

3.「好感」と「嫌気」という言葉のマジック

ここでひとつ、2つの文章を比較してみましょう。これらは、実際に「プロ」によって発信された為替ニュースの文言です。

・為替市場では豪ドルが買われた。中国の製造業PMIは市場予想を下回ったものの、4ヶ月連続で判断基準の50を上回ったことが好感された

・為替市場では豪ドルが売られた。中国の製造業PMIは4ヶ月連続で判断基準の50を上回ったものの、市場予想を下回ったことが嫌気された

1つ目の文章は豪ドルが買われたことに対する理由の解説で、2つ目は豪ドルが売られたことに対する解説です。しかし、ここで伝えられている事実は、どちらも同じであることにお気づきでしょうか。

「中国の製造業PMIが市場予想を下回った」「4ヶ月連続で50を上回った」という2つの事実は同じなのですが、それが豪ドル買い、豪ドル売りそれぞれの理由として文章が成立してしまっています。

しかも、「好感」「嫌気」という専門用語を用いることで、市場のムードのようなものを表現しています。こうした言葉を用いることで相場を解説しているように感じる人は多く、ある意味では言葉のマジックといえます。

これが、「プロ」による作文です。相場で起きている事実に対する理由付けはどうにでもできてしまうため、先ほど述べたように相場の雰囲気で「プロ」が主観を述べているのに過ぎない記事やレポートが量産されてしまいます。

相場が上昇した時には上昇した場合のための書き方、下落した時にはそのための書き方があります。「プロ」はその技術を用いてマーケットや相場を理解したような気分になる記事を書いているケースが多いことを知ると、こうした情報に過度に依存するべきではないことが分かります。
 

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著者プロフィール
鹿子木健(かなこぎ けん)
鹿子木健(かなこぎ けん)

お金を扱う能力を高めるための普遍的な知恵を伝えることをライフワークとして、 2004年から個人投資家として活動。投資分野はFX。不動産、株式、商品CFD、株価指数CFD、保険、暗号資産などの投資も経験した。

代表を務める株式会社メデュは、2020年5月に金融商品取引業(投資助言・代理業)を登録し、現在、「投資助言選択型自動売買ローレバレッジ・フォレックス」や、「鹿子木相場塾」などを展開している。

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