このエリアにHTML要素を追加する
投資と資産防衛の違いを理解しましょう【鹿子木健】

2021年くらいから発生したインフレに対する「資産防衛」として、NISAなどを活用した資産運用を行う人が増えています。
注意しておくべき点として、「資産防衛」と「投資」は意味が少々異なります。同じ意味として使っていると、思わぬ勘違いをしてしまうかもしれません。
この記事では、投資と資産防衛についての違いを解説していきます。
1.資産防衛とはお金を守ること
資産防衛と投資の大きな違いは目的が異なるという点です。
投資の目的はお金を「増やす」ことです。例えば、資産が100万円であれば、110万円や120万円に増やすことを目指します。
お金を増やすためには利回りが必要です。利回りによって元本+αの価値となり、収益を得ることができます。
一方の資産防衛の目的はお金を「守る」ことです。資産が100万円であれば、その100万円を維持することを目指します。
維持するだけなら何もしなくてもよいと思うかもしれませんが、資本主義経済の中で生活している私たちにとって資産の維持は簡単ではありません。
一般的に経済成長をすると、緩やかなインフレが発生すると言われています。インフレとは物価が上昇することです。
例えば、インフレによって100円で買えたものが110円や120円に値上がりすれば、保有している資産は実質的に減ったことになります。
将来的に経済が成長していくことを前提に考えると、資産が増えなければ資産が目減りしていくことになるので、資産を増やさないと資産防衛にはなりません。
そして、資産防衛は投資以上にハードルが高いです。なぜなら、資産防衛では資産を減らしてはいけないからです。
増やすことだけを目的とするだけならリスクを承知で投資すればいいと思いますが、資産を減らしてはいけないとなると投資先や運用方法の幅が狭まります。
昨今は資産防衛として、NISA制度を活用した株式投資や、小資金で大きなリターンを期待できるFXなどを始める人が増えていますが、これらは元本毀損リスクがあるため、安易な運用をすると資産を防衛するどころか減ってしまう可能性があります。
金融商品にはさまざまな種類があり、それぞれリスクなどの特徴が異なるため、自身の目的に合わせた投資が大切です。
2.投資よりも資産防衛は考慮するべき範囲が広い
投資と資産防衛は考慮するべき範囲が異なります。投資は狭く、資産防衛は広いです。
投資は「どのくらい利益がでるのか」を基準に考えることがほとんどです。
一方で、資産防衛は以下の事象も含めて考える必要があります。
・インフレに負けない利回りを期待できるか
・急激な値下がりリスクがないか
・運用における税金はどのくらいか
・相続の際に資産が毀損する可能性があるか
・政治によるリスクがあるか
・経済危機や天災、戦争などによるリスクがあるか
・家族や人間関係によるリスクがあるか
例えば、運用によって大きく資産が増えても、詐欺にあって資産のほとんどを失ってしまったら意味がありませんし、地震などで家や家財などの資産を失ってしまっても、資産の防衛は失敗です。
あらゆるリスクから資産を守りつつ、インフレに備えて資産を増やさなければいけないのが資産防衛です。
発生する確率が低いリスクにも備えなければならないからこそ、投資よりも難しいです。
3.平時を想定するのが投資、危機を念頭におくのが資産防衛
投資は平時を念頭に置いています。例えば、利回りが5%とするマンション投資があったとして、大地震が起きて建物が崩壊して住めなくなれば、利回りは0%です。リスクを減らすために保険がありますが、保険がなければ危機の発生時には利益が減るか損失を被るのが投資です。
資産防衛は危機の時に真価を発揮します。平時にはあまり資産が増えませんが、危機が発生した際に資産が増えます。
例えば、経済危機が発生した場合には資産を減らす人が増えますが、その環境の中では資産を減らさないだけで相対的に資産を増やしていることになります。仮に、保有資産が増えていれば、資産防衛は大成功といえます。
ただし、経済危機や天災、戦争などが起きている中で資産を守るのは非常に難しいです。自分ではどうしようもなくなれば、信頼できる第三者に頼れる環境を整えておくことも重要です。
【注意事項】
- 本レポートは筆者の主観及び経験に基づき執筆されており、内容の正確性や完全性を保証するものではありません。筆者及び株式会社アイネット証券は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。
- 本レポートはあくまでも参考情報であり、筆者及び株式会社アイネット証券は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。
- 当コラムにてループイフダンの実績を紹介する際に使われている「年利」は元金に対する年間の利益率を指しており、金利や利息を指すものではありません。
- 筆者及び株式会社アイネット証券の許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。